▼ ページ15
断ったのか。ホッとする自分。
「なんだよー、影山、彼女でもいんのかー？」
「いや、いねぇけど」
「「けど？」」
「好きなやつならいる」
そのセリフでクラスがうおおおおおおっと盛り上がった。
「で、その人からは貰えたわけ？」
「まだだ」
それを聞いて渡した女子が落胆した顔を見せる。
影山の好きな人、ね。バレーバカだから可愛いだけじゃダメだろう。素直に応援してくれて、彼女との時間無くても許してくれるような人。
ただの可愛いだけのミーハーなら私は納得できないんだろうな、きっと。そんなことを考えていたら教室のドアが開けられた。
「か、影山くん！！」
確かあの子は特進の…
「あ、谷地さん！」
影山の無表情な顔に色がついた。嬉しそうだ。そう、あれは男バレのマネージャーだ。
周りの女子が、態度全然違うよね、影山くんの好きな人ってあの人かな、なんて小声で話している。
可愛くて、バレーしてる影山を応援できて、頭もいい。完璧な子がいたなって思った。
勝ち目なんてないじゃんね。影山にあんな表情させられる女子は少なくともこの学年にはあの子しかいないと断言できる。
そこからの記憶はあまりない。ぼんやりと授業を受けて、気づいたら放課後になっていた。
影山はチャイムと同時に部活に飛び出していったようだ。期待してだらだらと教室に居座り続ける男子とは違う。
これで私の渡す機会はなくなったようなものだな。
私も部活に行こうと思って下駄箱に行く。そこでは日向と呼ばれる人と、その先輩らしき人がいた。
「今日は何個貰えたか勝負だからな！買ったら肉まん奢りだ！」
「まじすか！田中先輩自信あるんすね！！」
どうやらその人たちはチョコの数で勝負しているらしい。
鞄の中にしまわれたままの存在が主張を激しくする。この二人は私のことを知らない。いい機会じゃないか、そう心が語りかけてくる。
『あの』
「ん？どーした？」
『これ、影山くんに渡してもらえませんか？個数に貢献させてください』
「うわ、まじかよ影山かよ！いいよー！渡しとくな！」
日向くんはとびっきりの笑顔で受け取ってくれた。
名前も書いていない。個数に貢献だなんて思ってない。けど、ずるい方法だけど渡せたってことに意味があった。例えそれが捨てられるだけだとしても。
『ありがとうございます！』
そう言って二人に別れを告げた。
心なしか鞄の重さが随分軽くなった気がした。
よし、部活頑張ろうっと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
...syokatsu...(プロフ) - のりまきさん» そう言って頂けると嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年5月25日 15時) (
レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
のりまき - 初めまして！白布くん読ませて頂きました。とんでもなくキュンキュンしました作者さん天才です！！！これからも応援しています！ (2020年5月25日 2時) (レス) id: a2e04f6f11 (このIDを非表示/違反報告)
...syokatsu...(プロフ) - 美穂さん» そう言って頂けると嬉しいです。これからもっと上手く書けるように精進していきます！本当に今回はありがとうございました(^-^) (2020年5月1日 22時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 大地さんの見ました。キュンキュンしました！ありがとうございます！ (2020年5月1日 20時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - ...syokatsu...さん» ありがとうございます！ (2020年4月30日 15時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：...syokatsu... | 作成日時：2020年3月5日 13時
