影山飛雄 ページ14
影山と同じクラス
____________________
今日は学校中から甘い匂いが漂う。そう、2月14日だ。男女関係なく浮ついている。私もその一員なのだけど。
影山とか1年で同じクラスになって、今年も同じクラスになった。部活への一途さだったり、不器用だけど女子が荷物運んでたら変わる優しさだったり。授業中の睡魔と闘っている姿だったり。
かっこよくないところも好きだって思えるくらい私は影山に惚れていた。
陸上部でタイムが縮まず悩んだ時も、真っ直ぐな言葉で激励してくれたり、髪が邪魔だからずっとショートヘアで、周りの男子が女らしくないって言っていたとき、そんなことないって言ってくれていたのも。
影山からしたらどうでもいいことで、影山らしくいるだけなのだろうけど、私には眩しくて憧れだった。
仲は悪くないと思う。女子の中では話す方だ。私が影山を囃し立てないとか、怖がらないから話してくれるようになっただけだろうけど。
でも来年はもう受験期だ。もういいよね、バレンタインにチョコを渡せるのは今年が最後なんだし。自分に言い訳する。
本命だと言えなくて良かった。渡せたらそれだけで良かったのに。渡すのを躊躇する展開が待ち受けていた。
「うわー!影山、凄い量だな!」
「これだからバレー部の要は!!」
「イケメンで将来有望とかモテるに決まってるだろ!」
影山はあまり興味がないのか、ロッカーや引き出し、机上に置かれたチョコを紙袋に無造作に入れていく。
「あの…!影山くん、ちょっといいかな…!」
「おう」
影山が女の子について教室を出ていくと、周りの男子が騒ぎ始めた。
「やばくね!あれ、学年一可愛いって噂のマドンナだぜ!」
「うわー、あの子も影山のこと好きだったのかよ!」
「性格もいいらしいぜ!俺だったら絶対付き合うな!!」
あのマドンナさえも、影山を好きなんだ。彼女には欠点というものがない。強いて言うなら運動が苦手なところだろうか。でもその方が男子は可愛いと思うらしいし。もし今あの二人が付き合ったのなら、このチョコは行き場を失うんだな、なんて思った。
性格悪いこと言うけど、あの子が報われなければいい、なんてね。それでいて、影山も好きな人がいなければ。気兼ねなく友チョコとして渡そう。そう決意する。
教室の扉が開く。
「お、影山ー!どうだった?」
「チョコ貰った」
「それは交際しますって宣言?」
「いや、それは断った」
話は終わりだと席に向かう影山。
51人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
...syokatsu...(プロフ) - のりまきさん» そう言って頂けると嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年5月25日 15時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
のりまき - 初めまして!白布くん読ませて頂きました。とんでもなくキュンキュンしました作者さん天才です!!!これからも応援しています! (2020年5月25日 2時) (レス) id: a2e04f6f11 (このIDを非表示/違反報告)
...syokatsu...(プロフ) - 美穂さん» そう言って頂けると嬉しいです。これからもっと上手く書けるように精進していきます!本当に今回はありがとうございました(^-^) (2020年5月1日 22時) (レス) id: b4154610b3 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 大地さんの見ました。キュンキュンしました!ありがとうございます! (2020年5月1日 20時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - ...syokatsu...さん» ありがとうございます! (2020年4月30日 15時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:...syokatsu... | 作成日時:2020年3月5日 13時