【H×H】「ハンター試験に進出しても私は私で変わりなく、元気一杯突き進む！」【フェイタン ヒソカ】

「ちなみにこの間レオリオは発見出来ず。どっかで船員さんと危ない話をしていると予想」 ページ8

すつかりしゅんとしてしまったクラピカを良いから良いからとハンモックに押し込み、嫌味ったらしい綺麗な金髪を優しく撫でてやる。初対面なのに、こんなに殺せる程近付けるとはね。

「まーまー、疲れてるんでしょう？ なら寝ちゃいなさい、気ィ張ってても良いことないよ」

暫くはしかし、と何か言いたげにしていたクラピカだったが、彼が口を開く度に有無を言わせぬ笑顔で黙殺し、静かにさせることに成功した。

さっきまでの時間だけで百回くらいは殺せた。ただまあ、その辺の分別はしっかりしなければ。

今はまだ、クラピカは蜘蛛を一人も殺しちゃあいない。私だけが知っている未来。現在からは遠い現実。それを持ち込むのは宜しくないだろう。

それにクラピカはメインキャラクターだ、彼がいなくなってどんなに物語に支障が出るか。それなら、知り得ている未来のままにしておいた方が余程良い。

「……穴二つ、掘る準備はしとけよ」

復讐は、また新たな復讐を生む。クラピカは分かっているのだろうか。原作の様子じゃあ分かってなさそうだったけれど。

穏やかに揺れる網に体を沈めたクラピカは、やはり、キャラクターとして好きだったクラピカそのものだった。



クラピカが眠ってしまった今、話し相手がいないので、船室にいる理由を無くした私は何となく甲板に出た。

外に繋がるドアを開けた瞬間、蒸せ返る程の潮のにおいと、波を掻き分ける音が一気になだれ込む。この感覚は割と嫌いじゃない。

舟の縁に一応設置された、心許ない柵に肘を突き、手の平に顎を乗せる。どこを見ても三百六十度真っ青な空と海だ。

時々近くに止まる海鳥にちょっかいを出しながら、ひたすらな青を眺める。あ、めっちゃ遠いけど陸地あった。やっと青以外の色を発見出来たぞ。

「何してんの、お嬢ちゃん」

清涼感溢れる良い景色を見て心が晴れやかになっていたと言うのに、背後から掛けられた小汚ねえ声のお陰で気分が急降下する。

男二人組。私の両脇に立って、退路を塞いだつもりでいる。ここまで力の差が分からないとなると哀れになるわ。

「お嬢ちゃんもハンター試験？ オレさあ、もう五回も受けてんだよね。ベテランっつーの？ 色々教えたげよっか」

トンパ以下じゃねえか出直せ。そう言いたかったけれど、そんなことに使われる私の喉が可哀想だったので、シカトを決め込む。

あの陸地まで何キロあるかな。

「おじさんの歳上の余裕的なあれ、私の好みなんですな。サトツさんとかその辺超良いと思う」→←「クラピカに割と酷い発言しかしてない件について。キャラとしては好きだよ！ キャラとしては！」

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