【H×H】「ハンター試験に進出しても私は私で変わりなく、元気一杯突き進む！」【フェイタン ヒソカ】

「お待ちかね！！ 大変お待たせ致しました！ 本作で出せて安心っす！」 ページ31

結構可愛いお姉さんに個室に通され、お決まりの文句と共に扉が閉まる。

ほかほかと湯気を立てるステーキ定食が大きな鉄板の上に乗っていたが、そんなものを食べる精神的余裕は無かった。

これが下まで着いたら、ヒソカさんがいる。ヒソカさん。私が死ぬ程会いたかった人。

もうここまで来ると会えること自体は確定している。が、いざ間近になってみると、不安は募るばかりだ。

ヒソカさんのお眼鏡に適う程強くなってなくて失望されたらどうしよう。そもそも忘れられてたらどうしよう。ああああお腹痛くなってきた。

ステーキ定食の前で立ち尽くす私の横で、無感情な電子音が鳴り、ごうんと軽く扉が開く。

同時に、空を裂く、凄まじい悲鳴が聞こえた。

待って、ハンター試験開幕前に悲鳴が上がるイベントなんて、一つしか──


「気をつけようね♦人にぶつかったらあやまらなくちゃ♠」


懐かしい、声だ。

最後に聞いたのはいつだっけ？ 全然変わらない、色っぽい声。

エレベーターから走り降りる。ぽっかりと、その人を中心に、危険生物から逃れるように空間が出来ていた。

やっと、やっとだ。

「──……ヒソカさん」

小さく呟いた私の声が、どうやら不思議と届いたらしい。トランプを繰っていた手が止まり、弾かれたように振り向く。

「……A？」

死人を見るような目をしたヒソカさんなんて、今後一生見られないに違いない。

一瞬にして静まり返った会場に、ヒソカさんの足音が一つだけ響き、次の瞬間には私の目の前にいた。視認すら出来ない速さに、思わず笑みがこぼれる。

「ふ、はは……うわ、待って、待って下さい。ヒソカさん。ヒソカさんだ、信じらんない」

「それはボクのセリフだ♣どうして、君がこっちにいるんだい？」

「や、なんか良く分からないんですけど、来れちゃって……あ、ちょっと、タイム。タイムお願いします、どうしよ、心臓ヤバい、」

血の臭いと、名伏し難い謎の良い匂い。端正な顔。真っ赤な髪。金色の目。全部、全部全部、私の知っているけど知らなかったヒソカさんだ。

「……本当に会えた……」

今まで大体原作通りに進んで来たけれど、ゴン君が死にかけるとかいうとんでもねえハプニングもあったから、もしかしたら、って思いは拭い切れなかった。

「え、本物、ですよね。精巧な偽物とか、クソみたいなオチはないですよね」

「無いよそんなオチは♠」

「何で私を好いてくれてるのかマジで分かんないし明日逝ってもおかしくないくらいには今の状況がヤバすぎる」→←「すっっげえ緊張してきた。どうしよう。もうエレベーター乗るよ私。地下百階くらいまで行くんだよ私。どうしよう」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す