「すっっげえ緊張してきた。どうしよう。もうエレベーター乗るよ私。地下百階くらいまで行くんだよ私。どうしよう」 ページ30
作り物ではない本物の月の光が眩しい。しかしあの傾き様、かなり急がないと間に合わないのではなかろうか。
「ふう……予想以上に長引かせちまったな、申し訳ない」
「本当によ。何かしら請求しても良いレベルでしょこれ」
「悪かったって。最短ルートを教えてやるから、そう怒らないでくれ。君の速さなら、明日には着くさ」
「チッ……んのクソ屑野郎……」
「君女の子としてどうかと思うぜ」
「小さな親切大きなお世話っつーのよ、それ」
キレたら意外と暴言吐きまくるマチさんに影響されるまでもなく、元から割りかしこんな感じだし。間に合わなかったらこいつどうしてやろう。
男は懐からB5判程度の地図を取り出し、オーラで一筋の印を付けた。
「この道だ。この通りに進めば、時間切れってことはない筈だ」
「へーぇ……」
地図を見る限り道無き道っぽいが、ジャングル走破よりは楽だろう。クロロさんにぶち込まれた魔獣の巣窟を単身で突っ切った辛さに比べりゃあどうってことはない。
男の手から地図をもぎ取るようにして受け取り、素早く踵を返す。全く、寝る間を惜しむ暇さえ与えられないとは。
「じゃ、頑張れよ。君は必ず合格する。僕が保証しよう」
「あんた如きの保証は要らねえよ、侮るな」
「はは、そうだな」
へらりと軽薄に笑った男は、のんびりと私の進む道とは逆方向に歩を進め、そのまま木々の闇の中に消えていった。
……さて。私はのんびりしてる場合じゃないな。
「──……ッあの、ボケジジィ……!」
地図の通りに進むこと、数時間。もう完全に日は昇り、健康的な日差しがさんさんと降り注ぐ。
確かに。男の指したルートは、間違いなく最短だった。……が、民家の屋根の上を伝うのはハイリスクだと、何故奴は知らないんだ。
屋根を壊せば騒ぎになるし、見つかったら騒ぎになるし、兎に角騒ぎになる。“絶”だと跳躍力が不足するから“隠”をするしかない。準備運動と思って我慢するしかないのが歯痒い。
ハンターライセンスを手に入れたらデータベースに侵入して個人情報全部暴いてやることを決意しながら、漸く私は見慣れた店を発見した。
飯どころ「ごはん」。率直なネーミングセンスの店の前にこっそりと降り立ち、極力自然に客を装う。
「いらっしぇーい! ご注文は?」
暗号は地図に書いてあった。見なくても判るが一応確認してから、その言葉を店主に告げる。
「ステーキ定食。……弱火で、じっくり」
「お待ちかね!! 大変お待たせ致しました! 本作で出せて安心っす!」→←新年のご挨拶
764人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロキ(プロフ) - エーミール少年が登場しとる笑 (2020年2月20日 21時) (レス) id: 2da3670e3a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» わーい閲覧ありがとうございますー! うーん…原作軸に沿って動くだけでかなり暇がないので、子育てさせるなら捨て子拾うとかそんな感じになりますね (2017年3月26日 15時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 更新されたの見ました!後、質問です。将来フェイと夢主の間に子供とかできたりするんですか。フェイと夢主の子育てシーンとか見たいです (2017年3月26日 9時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫月さん» この小説ももう49話埋まってしまったよ…。言うてやったのは膝カックンだけどね!(ショボい)元の世界についてはまだ言及しないかな〜…といった感じ。ただどっかのタイミングで一時帰界させないとなあ、とは考えてる所! (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» ああああありがとうございます……!!! (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ