「いやほんとマジふざけろって話よ。ここは私の出る所じゃねーっつーに」 ページ21
「そんじゃ、お前ら二人は今すぐこの船から降りな」
二人のくくりにされたクラピカとレオリオが瞠目して「何だと？」と同時に呟く。なんだやっぱ仲良いな。
船長さんは、ちらと窓からまだ穏やかな海を見て、既にハンター試験は始まっている旨を述べた。遥か遠方で、激し過ぎる波によって弾かれた空気の音がした。
お馴染みのご高説を聞き流しながら、揺れるランプを眺める。ここからの展開は正直な話五万回は観たし読んだし、私の入る余地もない完成されたものだ。
クラピカの「死は全く怖くない」発言に呆れつつ、話についていけずにぽやんとしているゴン君に皆大好き栄養補助食品を分け与える。
クラピカとレオリオがわざわざ外に出向いて決闘をしに行ってゴン君が(口にカロメを咥えて)ミトさんズ名言を語る、この一連の流れを確認したら、もう私の出る幕は無い。
さてのんびり待機していようかな、なんて思っていた矢先、くいくいと服を引っ張られた。誰かなんて分かり切ってる。て言うかゴン君以外だったらキモくて死ぬ。
「何だい、ゴン君」
「Aさん、手伝いに行かない？ みんな大変そうなんだ」
「めっちゃ雨降ってるしめんどいからやだ」──ってストレートに言ったら私の株が凄まじい勢いで下がりそうだ。我慢して着いていこう。
正しく阿鼻叫喚の船上で、二人は悠然と向かい合っていた。こういう所を見るとレオリオもポテンシャルは高いんだなあ、と中に入りたがる足を必死で押し留めて思う。
風と雨と怒鳴り声とその他諸々のせいで聞こえなかったが、クラピカの「行くぞ！！」が出たらしい。一気に駆け出すクラピカ。瞬間、へし折れる支柱。
辛うじてバランスを保っていた船が、帆が失われたことで途端に傾き、船員の一人のどたまに壊れた木材がぶち当たった。カッツォだ。
彼はクラピカの後ろ──ゴン君の正面でもある──を綺麗にぶっ飛ばされて行く。真っ先に駆け出したのはレオリオとゴン君。一瞬遅れてクラピカ。
二人が柵に捕まって手を伸ばすも、届かない。歯噛みする彼らの間を、ゴン君が何の躊躇もなく飛び出し──
……船が、大きく揺れる予兆を見せた。
ぐうっと沈み込む船体。待て、これじゃあ、ゴン君を救助することが、
「……っ、ふざけろ……！」
遅ればせながら、私も動いた。足に“凝”を、床に“周”を施し、思い切り一歩目を踏み込む。景色が流れ、十数メートルの距離が縮まる。
クラピカの腕を支えにして、ゴン君の足首を引っ掴んだ。
「なんかただいたいけな子供に説教かますクソババァみたいになってるんですけどやだー！」→←「場を繋ぐ為だけに作ったモブだよ！ 別に重要なアイテムをくれるとかそんなんはない！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 764人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロキ(プロフ) - エーミール少年が登場しとる笑 (2020年2月20日 21時) (
レス) id: 2da3670e3a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» わーい閲覧ありがとうございますー！ うーん…原作軸に沿って動くだけでかなり暇がないので、子育てさせるなら捨て子拾うとかそんな感じになりますね (2017年3月26日 15時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 更新されたの見ました！後、質問です。将来フェイと夢主の間に子供とかできたりするんですか。フェイと夢主の子育てシーンとか見たいです (2017年3月26日 9時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫月さん» この小説ももう49話埋まってしまったよ…。言うてやったのは膝カックンだけどね！(ショボい)元の世界についてはまだ言及しないかな〜…といった感じ。ただどっかのタイミングで一時帰界させないとなあ、とは考えてる所！ (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» ああああありがとうございます……！！！ (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
