【H×H】「ハンター試験に進出しても私は私で変わりなく、元気一杯突き進む！」【フェイタン ヒソカ】

「出発の日ーーなんつって。さてさて、まだ暫くヒソカさんは出なそうな雰囲気」 ページ3

予め色んなものを描き溜めて置いた紙と、予備の紙や画材、その他諸々がぎゅっと詰まった鞄を背負い直す。

黒いタイツにホットパンツ。半袖のＴシャツの上にパーカーを重ね、温度調節対策もばっちり。

靴は動きやすいけど可愛いスニーカー、なんとマチさんお手製。本当に何でも出来る人だと感動したのが、つい一週間前の話。

定期的にフェイに梳いて貰って、さらさらだけどしっかり纏まった髪を高い位置で結わえる。姿見の前で格好を確認。モーマンタイ。

ゆっくり、階段を下りる。

「それじゃあ、フェイ」

「ああ」

「皆も」

アジトの入り口を背に、私の見送りに沢山来てくれた蜘蛛の皆をぐるりと見渡す。こんなことをして貰える程には、私は旅団に馴染めていた。

フェイをぎゅうっ、とこれでもかって位にしっかり抱き締めてから、ばっと顔を上げ、

「行って来ます！」

いってらっしゃい、行って来い、戻って来いよ。三者三様の激励がとんでいたけれど、私の思考は一旦途切れた。

ーーフェイからの、行ってらっしゃいのキスのせいで。





私がフェイと「死なない約束」をしてから、もう一年が過ぎていた。

無駄に豪華な飛行船の一室の窓際で頬杖を突き、まだ念能力が完成すらしていなかった頃のことを思い出す。

修行を重ね、フェイとイチャつき、蜘蛛の人達と親睦を深め……実に充実した生活を続けていたら、一年なんてあっと言う間だった。

イルミさんのお家にもちょくちょくお邪魔して、沢山のことを学ばせて頂いた。毒の耐性や不意打ちに対する反射はめぎめぎ鍛えられたよ……結構怖いのに変わりはないけど。

そうこうしている内に早くもハンター試験の五日前。兎に角ヒソカさんに早く会いたくて、こんなに早く出てしまった。

シャルさんには呆れられたけども、私はヒソカさんに会いたくて会いたくて震え……はしないが、滅茶苦茶会いたいのは本心だ。

一番取ってくつもりで早目に出発した。イルミさんには飛行船で送るよ、とも言われたが、ぶっちゃけまた針刺されたり何だりとか恐怖でしかないから丁重にお断り。逃げ場限られるし。

とっくのとうに豆粒並みになってしまったアジトを眺めて、一つ溜息。一ヶ月もフェイと会えないとか、ヒソカさんがいなけりゃハンター試験なんて受けないレベル故に。

連絡出来る時は連絡するよう言われたが、わざわざ言われなくてもするに決まっている。私のフェイへの愛は、一日ごとに強まっているのだから。

「わあい！ 船長さんだよ！ 出来れば会いたくなかった人トップテン入りしてたよ！」→←念能力について

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