「場を繋ぐ為だけに作ったモブだよ! 別に重要なアイテムをくれるとかそんなんはない!」 ページ20
男は、名をチョウと言った。別に真偽はどうでも良いので細かくツッコミはしない。精々名前の由来はチョウザメかなと思う程度だ。
かつて二度ハンター試験を受けたこと。二度目では死にかけて、泣く泣く海の男に転向したこと。嫁さんと子供の惚気話……などなど。
私のうっすいリアクションの何が楽しいのか、チョウは大袈裟な身振り手振りを交えて、私に自身の半生を語った。
「そんで、その時オレがキャリーになんて言ったと思う? 感動するキャリーの手を取って、そして……」
「そろそろ休憩終わりじゃないの? 随分風が塩臭いし湿っぽい」
「お? そうだな、その通りだ。いやあ、流石は次期ハンター。敵わねえなあ」
「お世辞」
「本心さ」
結局何がしたかったのか分からないまま、チョウはさっさと支度に戻ってしまった。取り敢えずキャリーとかいう嫁さんが可愛いのは分かったけど。
個人的に、情が湧きそうだから、ああいうのはやめて欲しい。
すっかり活気の失せた船の木材が、ホラー映画さながらに軋む。人気の無くなってしまった船室には、五人の人間が集まっていた。
言わずもがな、原作組プラス私である。ああ〜これ漫画で見た奴〜! と叫んで転げ回りたい。死んでもやらないけど。
船長さんに促され、一人一人自己紹介を始めた。とは言っても名前を言うだけの簡素なものだったが、私も落とされるのは嫌なので素直に名乗る。
「お前ら、なぜハンターになりたいんだ?」
船長さんが、名乗り終えた私達に向かって鷹揚に問う。リアルではお初にお目にかかるレオリオが反発するも、ゴン君の純朴な回答に阻まれた。
この辺りで変に介入するとおかしなことになりそうなので、私は三人の仲良しさんな喧嘩を黙って見守る。うんうん、仲睦まじくて結構なことだね。
クラピカの原作通りの長台詞も終え、船長さんは私達全員を矯めつ眇めつして「それで」と言う。
「お前さんは。理由は何だ」
「ぅえ? 私?」
「当たり前だろうが。お前だけ聞かん訳にもいかねえよ」
何となく第三者視点で我関せずのスタンスでいたので、突然話しかけられて変な声が出た。主人公組三人の視線がぐあっと集まり、謎の緊張感が走る。
「えー、と……人を、探しに。大事な人。命に代えられるか代えられないかで言ったら、代えられる程度には」
さも重要そうに、けれどある程度はぼかして答えると、船長さんは「そうか、そうか」と蝶の標本作りをする少年のような台詞を口にした。
「いやほんとマジふざけろって話よ。ここは私の出る所じゃねーっつーに」→←「さて今作中に一次試験会場に辿り着けるのだろうか」
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ロキ(プロフ) - エーミール少年が登場しとる笑 (2020年2月20日 21時) (レス) id: 2da3670e3a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» わーい閲覧ありがとうございますー! うーん…原作軸に沿って動くだけでかなり暇がないので、子育てさせるなら捨て子拾うとかそんな感じになりますね (2017年3月26日 15時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 更新されたの見ました!後、質問です。将来フェイと夢主の間に子供とかできたりするんですか。フェイと夢主の子育てシーンとか見たいです (2017年3月26日 9時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫月さん» この小説ももう49話埋まってしまったよ…。言うてやったのは膝カックンだけどね!(ショボい)元の世界についてはまだ言及しないかな〜…といった感じ。ただどっかのタイミングで一時帰界させないとなあ、とは考えてる所! (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» ああああありがとうございます……!!! (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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