【銀魂】不老不死の女は寺子屋の先生になって幸せに暮らしているそうです《松下村塾篇２》 (ページ10)

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45話ページ10

「鯉は病ではなく魚だぞ？」
「鯉じゃねぇよ！『恋』煩いだよ！」
「恋煩い…？」
「俺もよく知らないが、他者に愛情をよせることだ」
同じくオウム返しをすれば、銀時の隣りにいた小太郎が補足を入れてくれた。しかしここで問題が生じる。
「僕は銀時達も好きだが違うのか？」
少し違うと否定され余計に頭を悩ました。他者に向けた愛情ならばそれは恋煩いではないのか。普通の愛情と恋煩いの境界線が僕にはわからなかった。
「じゃあ１番好きなのは？」
「………駄目だ決められない。松陽も銀時も晋助も小太郎も好きだ。皆１番じゃ駄目なのか？」
「じゃあ松陽がもし他の女と話していたら？」
「共同体に馴染めているなと思う」
「じゃあ先生と一緒にいるとどんな気持ちだ？」
「…嬉しい？陽だまりのように優しい感じか好きだな」
質問をされ僕のわからないものが引き出されているようだった。そして引き出された感情を見つめて既視感を覚えた。まさにこの感情は、いつか見た小説に並べられていたものを含んでいたからだ。
その既視感の一致に脳の処理が追いつく間、僕は固まっていたのだろう。小太郎が僕を揺さぶった。意識をこちらに戻した時、銀時がガシガシと頭を掻きながら言った。
「お前頭良いのにホント馬鹿だよな。難しく考えんな。恋つーのはそいつのことが好きで堪らなくて、笑ってる顔が見たくて、自分がその要因になりたくて、幸せにしたくて、心臓、ていうか体全体可笑しくなりそうになるし、自分以外にその笑顔とか見せたくない独占欲も出てきて勝手に苦しくなる…でも目の前の好きなヤツが笑ってたらそんなモンどうでもよくなるくらい幸せになる、恋ってそんなモンだ」
そっぽを向いてそう言い終わる銀時の名前を呼んだ。
「って！ジャンプで見ただ『恋煩いの匠だな！』は？」
幸せにしたい、笑ってる顔が見たい、好き、全部僕の感情に似ていた。
「僕はまだ完全に『恋』を知らない。だが少し理解できた気がするぞ！ありがとな！」
礼も込めて３人の頭を撫でると、３人は顔を合わせ「やれやれ」と言いたげに笑っていた。そして僕は次の疑問を投下した。
「で、僕はどうすればいいんだ？」
３人が再度固まった気がした。

新たなAの問いに俺達は３人で円を作り小声で話す。Aは不思議そうに首を傾げていた。
「オィィどうすんだよこっから！俺わかんねぇぞ！」
「俺も知るか！」
「落ち着け。子供に相談するほどだ、Aは恋愛事を知らん。ここからは先生に任せよう」