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44話 ページ9

地中から出ていた銀時達に風呂だと伝える。3人仲良く作っていたたんこぶは痛そうだ。
肩甲骨辺りまで伸ばした髪は乾かす動作が億劫になる。言ってしまえば面倒だ。やっぱり切ろうかと思うが、心地良さを取りたかった僕はそんな考えを遥か彼方に投げ飛ばした。
しかし面倒なのは面倒だ。火照る身体を夜風に晒し涼んでいた。手は進まない。
「湯冷めしますよ。乾かしてあげますからおいで」
手招きをして僕を呼ぶ松陽は困ったように笑っている。先程のことを思い出し向かう足が一瞬止まったが、僕はそれを悟られないよう振る舞った。
僕が正座し松陽が僕の前に膝立つ。こう見ると松陽は背が高い。
「松陽は背高くて格好良いな」
「格好良い…!?本当ですか!」
「おう。羨ましい。どのくらいだ?」
「180くらいだと思いますね。Aは何cmですか?」
「170…?」
「女性にしたら高い方ですよ」
しかし10cmも距離があるのだ。少し寂しい気がする。
…寂しい?何故僕はそんなことを思った?今もこうやって近いのに、この心臓の音が伝わってしまいそうなほど近いのに確かに「寂しい」と思ったのだ。
動きを止めた僕を不思議に思ったのか、松陽は首を傾げて僕の顔を覗き込む。目が合って優しく微笑まれた。
あぁ駄目だ。やっぱり僕は可笑しい。心臓が苦しい。


「…と言う感じなんだ。心臓が痛くてな、僕は何かの病を患っているのだろうか」
銀時達に先程と最近の出来事を話してみる。何か僕が知らないことを知っているかもしれない、解決法を掲示してくれるかもしれない、そんな希望を抱いていた。
しかしそんな僕の心を知らずか銀時は舌打ち混じりに言う。
「相変わらずのリア充っぷり爆ぜろ」
ケッと言いたそうな銀時に僕は首を傾げる。
「リア充とは?」
「気にしないでいい」
晋助にそう言われ、流行とは名のごとく流れる水のように去るのかと、脱線した内容について考えていた。それに気づいた僕は話を戻そうと3人にもう1度打ち明ける。
「それで僕はどうすればいいと思う?何かの病か?」
「まぁ病と言えば病だな」
晋助が少し困ったように言う。最近の子は博識だ。僕の知らないことを知っている。僕がそれについて聞けば、3人はため息を吐いた。確かに無知であるがそこまで落胆しなくてもいいだろう。
そんな中黙っていた銀時が小さく呟いた。
「…恋、だろ」
僕は銀時の言葉を復唱する。「コイ?」「こい?」「鯉?」魚か?何故魚?と僕の思考回路は回っている。

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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時

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