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63話 ページ28

「原因が飴玉であることしかわからないからどうしようもないな」
銀時の着流しを借りた僕は目の前に差し出された茶を飲む。借りることに松陽は不満気であったようだが、致し方ないと僕が説得し今に至る。その代償に膝の上に乗せられ撫でられるという羞恥的行為を子らの前でされているのだが。
「背が縮む以外特に異常はないようですし、(Aが可愛いから)いいんじゃないですか?見た目は子供頭脳は大人ってやつです。童心に返ってみたら楽しいですよ」
僕の頭を撫で続ける松陽は他人事のように言う。むしろ楽しんでいるのではないか?滅多なことでは死なないからと呑気なやつだ。
「誰が名探偵だ。それに僕の心は常に少年の無邪気さを持っている」
「得意気な顔も可愛い……お煎餅食べますか?」
僕は口元に運ばれた煎餅を受け入れた。口を動かすだけでも「可愛い」などと緩んだ顔を見せるこいつは先程からどこか可笑しい。
それを頭に大きなたんこぶをつけた元凶(ぎんとき)が少し引いたように呟いた。
「猫可愛がりが過ぎる…」
「可愛くて可愛くてしょうがないんです。あとAとの間に娘ができたらこんな感じかなぁと」
「うわムッツリ」
「普通でしょう!?好きな人の幼少期の写真とか見て『あ、子供出来たらこんな感じかな』って想像するでしょう!?」
「……しねぇって」
「その間は嘘ですよね。それに私は銀時にだけは言われたくないです。自分の着流し着せてそわそわ『あー!あー!』ほらぁ!!」
もう松陽の猫可愛がりに若干慣れてしまった僕は、齧りついていた残りの煎餅を口に入れて言う。
「…そうだな。夫婦ではないが接吻してしまったし子ができるかもしれないな」
何度もしてしまった。そう付け足せば辺りを静寂が包む。しんっとした空気を破ったのは僕以外の声であった。
「「…え」」
それほど驚くようなことを言ったのか僕は、とこちらも困惑する。
「…私が守ってあげますからね」
ぎゅっと普段より大きく感じる体に抱きしめられ僕は疑問符を浮かべた。
「まだ子はいないぞ?」

場所は移り僕らは今外にいた。
このような体ではいつもの仕事が思うように行かずどうしようかと悩んでいた時、「折角なら子供達と遊んできてはどうでしょう」と松陽に勧められたため、松陽の膝の上から青空の下へと移動したというわけである。子供達と同じ目線で遊ぶというのは新鮮である。僕には見えなかったものが見え、独自の世界観すら感じられる。

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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時

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