【銀魂】不老不死の女は寺子屋の先生になって幸せに暮らしているそうです《松下村塾篇２》 (ページ17)

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52話ページ17

ある夏の日、陽炎で歪むような地面を見て日に日に暑くなる夏を呪った。蝉時雨が降り注ぎ、暑さに弱いのか、僕は少しバテ気味である。そんな僕を見て銀時が提案したのは川に遊びに行こうと言う話であった。こんな日は冷たい流水が気持ち良いであろう、珍しく気が利く銀時の頭を撫で褒め準備に取り掛かった。
「A〜は〜や〜く〜」
「わかったらちょっと待て！ったく…じゃあ行ってくるな」
そう言うとじっと僕の顔を凝視する松陽。留守番が不満なのか、それともこいつも夏の暑さにやられたか。手を伸ばして僕の唇に触れた。肩が跳ねて名を呼ぶが返事はない。やはり暑さにあてられているらしい。無言でふにふにと触り続ける松陽に僕はどうしたらいいのか。このまま噛み付いてやろうか。
「松陽？噛みつくぞ？」
「…っ！犬じゃないんですから…では行ってらっしゃい。浸かるのは足までですよ、夏風邪に罹ったら大変ですから」
「う…ぜ、善処する…」
目をそらす僕に松陽は優しく微笑って頭をひと撫でする。そのまま頬に滑って離れる指先が恋しかった。

「松陽が全身に水浴びるなってよ、風邪引くからって」
「川遊びの醍醐味何処行った？」
少し物足りないが松陽の言っていることも理解できるため、僕は川縁に座ってぴちゃぴちゃと足をつける。これだけでも涼しい。
銀時達も不満そうだが埋められたくないためか、着物の裾を上げている。監督者のように３人を見守りながら僕も川を楽しんでいると、ある1点を見つめていたのだ。何か面白そうなものでも見つけたのかと聞くと魚がいたという。捕まえようとして空振る銀時達を僕は頬杖をついて見守っていた。
「A〜獲れねぇ〜」
「石で流れ変えてみろ」
助言通りにせっせと石を運ぶ３人。今日の夕食が決定したかもしれない。川魚は処理が面倒だが３人が楽しそうだからよしとしよう。魚を獲らえ目を輝かせて僕に見せる様子に微笑った。

「…松陽に怒られそうだな」
「「……」」
夕陽が僕らを差して烏が鳴く。僕らは川の中で全身ずぶ濡れになって立っていた。経緯としてはいつものちょっかいからの挑発、乗ってそれを注意からの巻き添え、そしてびちゃびちゃである。いつものことだ。
松陽への言い訳を考えていると冷えたのかくしゃみを出す銀時。1次避難させていたため被害を受けずにすんだ羽織をかけて微笑う。
「帰ろうか」

「「(相変わらずのスパダリ…)」」