春風と君／ KnightA (ページ9)

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都合のいい夢ばかりページ9

❤️

「ばぁうくん、……ただいま」

夢を見た。いなくなった彼女がふらりと戻ってくる夢を。そんな彼女を抱きしめて、「どこ行ってたの」「心配した」「おかえり」なんて言って甘やかしてあげたかった。

「…………どこ行ったんだよ、」

居ない。どこにも。
まるで初めからいなかったみたいに消えた彼女。

🩷

「言いすぎて、ごめんね」

そんな泣きそうな彼女の声が聞こえた気がして、「いいよ、僕もごめん」「大丈夫」「傷つけてごめんね」と謝って次の予定を立てようと思っていた。

「……もう、終わっちゃったんだ、僕達」

次なんてなくて。
今まで当たり前にあった隣が薄れていってしまうのがわかった。

🩵

「寂しかっただけなんだよ」

そう泣きつく彼女を優しく抱きしめて、「気づいてあげられなくてごめんね」「もうそんな気持ちにさせないよ」「話してくれてありがとう」と慰めてあげたかった。

「今からじゃ、もう遅いのかな」

キミが好きだった。ずっと、……ずっと。
それだけじゃダメだった。

💛

「やっぱり私そまちゃとがいいよ」

やり直しが効くのならどんな言葉でも良かった。「しょうがないな」「俺だってそうだよ」「嫌な気持ちにさせてごめん」って言ってキミと新たな誓いを立てたかった。

「……俺には、Aしかいなかったよ、」

煌めく世界が変わったのは彼女が消えてからだ。

💚

「しゆん……！」

どこに居たって響く声。透き通る綺麗なその声に「なんだよ」「はしゃぎすぎ」「可愛い」なんて笑いながら沢山愛でてこれから先の未来も一緒に歩んでいきたかった。

「……はぁー……、何がいけなかったんだろ」

それにすら気づけないオレはきっと大馬鹿者なんだろうね。