おかしい ページ23
彼方side
自動販売機の前でAさんを見つけた。
ジュースを2つ買っているみたい。
なんで2つなんだろう。
真冬と聖太にパシリ代わりにでもされてるのだろうか?
そ、そんなはずないよな。
「それ、だれにあげるの」
真実を確かめたくて言ったものの、かなり小さい声になってしまった。
Aさんは固まっている。
そっか、そういえば俺の名前、Aさんに言ってないや。
「あ、一ノ瀬彼方です」
『そ、その説はどうも』
少しだけ緊張が溶けた顔でAさんも会釈をする。
「ちゃんとまふと食べてる?」
『今日は、友達だちと、食べてるので、あの、相川さんとは、食べてないです』
本題を問うと、さっきよりも顔が強ばって慌てている。
まふたちになにかされたのだろうか。
「え、まふたちと食べてないの?じゃあ一緒に…」
とりあえず一緒にまふ達の所へ行かなければ。
『あのっ、友達が待ってるので』
そういうと、僕が止めるまもなく走って行ってしまった。
何かおかしいと直感した。
慌てすぎだし、ペットボトルもふたつ。
2人で飲むなら友達と一緒に来ると思うし……。
そう考えながら、自分の足はAさんを追っていた。
そういう事だったのか。
会話を盗み聞きするつもりはなかったが、聞こえてしまった。
Aさんと、その友達との会話。
こんなことが毎日続いていたら……と考えるとゾッとする。
冷静に話しかけるべきかな、これ。
「ふ〜ん、君、いじめられてるんだ」
冷静に話しかけるつもりが、これじゃ傍観者じゃないか。
『え?…い、一ノ瀬さん』
「……」
これは、本人から聞くのが一番いいかな。
『やだなあ、いじられキャラなんです、私』
『全然、いじめられてるとかじゃ…ないです』
今にも泣きだしそうな声で何を言っているのだろうか。
「あれのどこがいじりなの?完全にいじめ…」
『ちがうんですってば!』
パニックになっているのか、聞いたことの無い声で否定する。
周りの人が一斉にAさんの方を見る。
「キャァァ!!一ノ瀬様よ!!!」
「え?どこどこ?!」
あ、俺なのね。
どっと人が押し寄せてくる。
まずい、まだ話さないといけないことがあるのに。
「っ、ちょっ、Aっ」
俺の声は届いていなかった。
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猫(プロフ) - 私は待ってますよ!! (2020年12月14日 0時) (レス) id: f6b1fd4935 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 続きは出さないんですか?? (2020年12月14日 0時) (レス) id: f6b1fd4935 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 最高です!! 続き待ってます! (2019年11月20日 23時) (レス) id: 5cebca09c0 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 続き楽しみにしてます!本当に大好きです!! (2019年8月17日 13時) (レス) id: 91adf27aab (このIDを非表示/違反報告)
Re(あーる)(プロフ) - あぁ〜!めっちゃ好きです!続き楽しみにしてます! (2019年8月9日 22時) (レス) id: e1df8226ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほのぴん。 x他1人 | 作成日時:2019年3月30日 18時