悪役 ページ17
Aside
動けずにいると、顔を覗きこまれる。
「これくらいで済んで良かったね」
有栖さんが深い笑みを浮かべる。
それが怖すぎて泣いてしまいそうになった。
泣くな。これくらいで。みっともない。
「え〜、泣かないのぉ?」
「つまんね、つーかさ、A、もう近づかないんだっけ?御三方に」
「そーそー、そだよねぇ」
「近づいたらどうなるか、わかってるよね?」
そう言って、笑いながら学園の方へ歩いていった。
『なに…これ』
自分でもよく分からない。
あれは朋花?本当に?
ごちゃごちゃの頭のまま立ち上がる。
今の出来事を誰かが見ていてくれたら、そうしたら解決してくれるのではないか。そう思い、辺りを見渡しても、誰もいなかった。
よろよろと学園の門へ足を進める。
学園には着いたが、まだ朋花たちのことを考えている自分がいた。
今のことを先生に言えば、でも、証拠も何も無いし、どうしよう。
廊下を歩く。早くついたため、人がいない。
そもそも、私は相川さん達と仲良くしてもいいのだろうか。
こわい。
分からない。
どうすれば??
そのとき、ぽん、と肩を叩かれビクッとする。
「なに、そんなに驚いて」
いきなり来たよ、来ちゃったよ。
『どなたですか』
「ああ、真冬……相川真冬だよ」
相川さんか、昨日空き教室の奥にいた人だ。
『今はお1人なんですね』
「うん。なんか彼方と聖太、どっかいっちゃった」
『な、なるほど…?』
この場合相川さんが迷子なのではないかと思うが、口には出さないことにする。
でもすぐに見つかりそうだ。女子の嬉声が聞こえる。
その瞬間、昨日と同じように手を引っ張られ、柱の影に連れ込まれる。
『な、なにを……』
「女子に見つかるの嫌だから」
静かにしてねと言われ、騒ぐわけにもいかない。
これはいわゆる壁ドン状態ではないか。
顔近っ。まつげ長い……てか肌白すぎじゃない?
「僕の顔になんかついてる?」
『ほんとに綺麗な顔ですね』
「え、そ、そう?ありがとう」
まさか褒められるとは思ってなかったのか、相川さんはちょっと恥ずかしそうだった。
こんないかにも少女漫画チックなことってあるんだ。
『もういいと思うんですけど…』
「うん、そうだね」
壁ドン状態から離れ、私は自分の教室へと向かう。
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猫(プロフ) - 私は待ってますよ!! (2020年12月14日 0時) (レス) id: f6b1fd4935 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 続きは出さないんですか?? (2020年12月14日 0時) (レス) id: f6b1fd4935 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 最高です!! 続き待ってます! (2019年11月20日 23時) (レス) id: 5cebca09c0 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 続き楽しみにしてます!本当に大好きです!! (2019年8月17日 13時) (レス) id: 91adf27aab (このIDを非表示/違反報告)
Re(あーる)(プロフ) - あぁ〜!めっちゃ好きです!続き楽しみにしてます! (2019年8月9日 22時) (レス) id: e1df8226ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほのぴん。 x他1人 | 作成日時:2019年3月30日 18時