05 見えない奥底 ページ6
「ヤったとしても、春くんが好きなのは変わりません。」
行為に関して拒絶を示して見るものの、愉快そうに微笑みを浮かべただけだった。
彼の心の奥底が本当に見えてこない。情緒がどうなっているのか気になるところだ。
春くんは比較的、喜怒哀楽が顔に出るから思っている事が大体予想できる。
そして、竜胆さんもポーカーフェイスを装いつつも、上手く隠しきれていない部分があるから、何となく予想が立てられる。
しかし、蘭さんの場合は違う。ポーカーフェイスで装うのでは無く、表情と思惑が別の可能性が高い。
現状、微笑んではいるものの、本心は全く笑っていないし恐らく穏やかな感情は一切なさそうだ。
表情から読み取る事は愚か、思ってもいなかった事が起こされそうな、そんな感じがする。
私の生きてきた中で培ってきた勘と、本能がそう告げている。
ガチャ、と玄関先から鍵の開く音。春くんがタイミングよく帰ってきてくれたようだ。
「……何で居んだよ。」
春くんの第一声。不機嫌な時に出す、低いトーン。
「俺も人肌恋しくなって、合鍵作らせて貰った♡」
鍵を見せびらかせば、わなわなと体を震わせている春くん。今すぐ殴りたいのを、私がいる事もあり、抑えてくれているのだろう。
「とりあえず、その合鍵下さい。」
「え〜、ヤダ♡」
流石にイラッとしてしまった私は彼の手から無理やり鍵を奪い取った。
「いい加減にしてください。……今日は泊めませんから。どうぞお帰りください。」
蘭さんの背中をぐいぐいと無理やり押しながら玄関前まで移動する。
申し訳ないけれど、これ以上関わったらろくな事にならないと思った。
それに……春くんとの2人の時間をこれ以上奪われるのも苦痛だ。
靴を履き終えるのを待ち、履き終えたのと同時に再び背中を押して玄関外へと追いやった。
バタン、と強引に扉を閉めると春くんは私の理性的ではない行動に随分と驚いている様子だった。
「珍しいな、そんなに感情的になるなんて。」
遠回しにヤりたいと言われた事を春くんには、言わないでおこう。
「合鍵作られるのは流石にね。」
きゅっと春くんの手を握りしめた。
春くん以外に、好きな人なんて現れたりしない。それを知っているから、私はこの手を離したくない。
「ご飯食べたら、一緒にお風呂入ろ。」
「Aから誘っちゃって大胆だな♡そんなに俺とイチャつきたかったのかよ。」
「そうだよ。」
交わす言葉が増える度に、彼への愛しさは増していく。
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さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした!(土下座)こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω`*)ずっと待ってたかいがありました!無理せずに更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました!ぜひ読んで下さい!完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります!ありがとうございます! (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜!! 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください!応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです! (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年2月20日 0時