46 はじめまして ページ47
反社の彼に任せて、大丈夫かな……なんて不安は一切ない。きっと、春くんなら私の子ども、育ててくれるはず。
思い切り踏ん張ると、ずる……と何かが動く感覚。看護師さんが感嘆の声を漏らし、「おめでとうございます!元気な女の子です!」と喜んでいる。産声が聞こえたのと同時に、身体に力が入らなくてそのまま意識が飛ぶように途絶えた。
誰かの、声が聞こえる。ずっと私の名前、呼んでる。……春くん?
眠っててごめんね、私今すぐ起きるから。……そう、思ったんだけどね。何だか、身体が重たくて、疲れちゃって。起きたくても目が開けられないの。
ずっとずっと眠たくて……。ごめん、春くん。もう少ししたら起きるから。
「A……起きなさい。」
……あれ、春くんじゃない声が、聞こえる。誰の声?耳をすませているうちに、誰の声か、誰が私を呼んでいるのか、分かった。
もしかして、お母さん達?そこに居るの?病院に来てまで、勝手に産んだ事、怒りに来るとか、どれだけ口うるさいのよ。
「早く、目ェ覚ませよ。笑えねえ冗談……辞めろ。」
震えている声で、私に毒づいてるのは春くんだった。ねえ、泣いてるの?1粒、冷たい水滴が私の体のどこかに伝った。それは、分かるのに。
頭の中ではちゃんと、意識があるけれど、それに応えるまでにどうやら時間が掛かっているらしい。
「Aが産んだ赤ちゃん、ここに居んだよ。」
……そこに、居るの?そっかぁ、赤ちゃんは無事だったんだね。良かったぁ。一目見たいな、傍に居るならちゃんと、起きないとね。
ようやく、目を開けると目の前には春くんと、赤ちゃんと……お母さん、お父さんが居た。
「A!お前、何時まで寝てんだよ、心配しただろうが!」
どうやら私は1週間以上の病院のベッドで眠っていたらしい。春くんが抱いている赤ちゃん。私と、春くんの子ども。女の子で、五体満足で産まれてきてくれた。
「春くん、私に抱っこさせて?」
春くんは私が抱っこしやすいようにしてくれて、初めて抱くことが出来た我が子。小さくて、可愛い。愛しの、私の子。
「A。」
柔らかい雰囲気の中、鋭い声が刺さる。お母さん、この後に及んでまだ何か言いたいのだろうか。
「出産おめでとう。……春千夜くんと、頑張ってこの子を育てなさい。」
「え……?」
咎められると思っていたから、予想外の言葉が出てきて私は驚きを隠せなかった。
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さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした!(土下座)こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω`*)ずっと待ってたかいがありました!無理せずに更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました!ぜひ読んで下さい!完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります!ありがとうございます! (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜!! 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください!応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです! (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年2月20日 0時