30 違和感 ページ31
終始不機嫌な彼と帰宅をし、部屋の空気も何だか重たくなって居づらい。
どちらも言葉を零すことは無く、続いていく沈黙。綺麗な桜のような髪を後ろから見つめて部屋の奥へと進んでいく。
彼は、私の事を1度も見てくれない。弁明の余地を与えてくれるかも分からない。
けれど、私が先程まで蘭さんと何も無かった事を証明はしたい。
「春くん、」
名前を呼んでも、いつものように返事はしてくれない。それでも、話を続けようと言葉を零していく。
「蘭さんが電話してくれたと思うんだけど、私が体調悪いところを助けてくれただけだから。」
「……何もされてねえんだな？」
「されてない。むしろ、助けてもらったの。」
「……そっか。体調は大丈夫か？」
きっと、色々と言いたい事はあるのだと思う。それをグッと抑えて、私に優しい声色で問いかけてくれている。
本当は、心の中は真っ黒な感情でいっぱいで、怒りに満ちているはずだ。
それでも、私の事を優先してくれているから、怒らないで、平然を装っている。そのせいで、春くんが言葉を発する度に声が震えていた。
もし、私が春くんの立場だったら、同じように平然を装って彼と話す事は出来ないかもしれない。
それを思うと、本当に嫌な思いをさせてしまった。
「大丈夫。……春くん、ごめんなさい。」
口先だけの謝罪だと、思われてしまっても仕方がない。彼の綺麗な顔貌を見つめると、漸く視線が重なった。
相変わらず、絢爛さを纏っている彼の姿。前は……その姿を見る度に心がときめいて、好きだという気持ちが溢れて止まらなかった。
だけど、今は……少し胸焼けがする。好きな気持ちは変わらないのに。情緒が不安定だから何だとは思うけれど。
「もう、謝らなくていい。」
抱き寄せてくれる彼の優しい手が、今は素直に嬉しいと思えなくて。
謝ったら、許さなくてはいけないという義務のような形が彼の後ろに見えた気がした。
好きだから、許さなきゃいけない訳じゃない。
咎めたい気持ちを抑えてくれているのは彼の優しさだけど、彼の気持ちは何処に消えていくの？
消化不良のまま、何処かに怒りをぶつけるなら、私にぶつけて欲しい。
そんな事、優しい彼にできない事を分かっていて、そう思うのは私が狡いせい。
「春くん、私ね……もしかしたら、妊娠してるかもしれなくて。」
「……うん。」
「明日、仕事休んで病院に行こうと思ってる。」
もう、現実と向き合わないといけないんだと、言い聞かせた。
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さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした！（土下座）こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます！ (2022年9月24日 15時) (
レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω｀*)ずっと待ってたかいがありました！無理せずに更新頑張ってください！応援してます！ (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました！ぜひ読んで下さい！完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります！ありがとうございます！ (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜！！ 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください！応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです！ (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきな。
| 作成日時：2022年2月20日 0時
