28 ホテル ページ29
仕事帰り、突然の雨に降られてしまい、折りたたみ傘を会社のロッカーの中へ放り込んだままだったのを思い出してしまった私。
取りに戻れる距離でもない為、諦めて走ってどこかへ雨宿りしようとする。
けれど、こんな時に限って体調が優れず走るにも走れない。体を冷やしてしまっては体調が悪くなってしまう事も分かってはいる。
それでも、思うように身体は動いてくれなくてのろのろと雨が強くビルを打っているのを眺めながら歩いていた。
濡れた髪と服が体にべったりと引っ付いて余計に気持ち悪さが増していく。
そんな中、私を濡らしていた雨が影によって防がれる。影の先を見上げると、目の前には蘭さんが居た。
「……何ですか。」
「いや、雨に濡れてるから。」
「大丈夫です。そこら辺で雨宿りします。」
「体調悪いんだろ。こういう時くらい三途以外の奴に頼れるようにしとけよ。」
いつものウザ絡みが無く、正論を言われてしまう私は何も言えなくなってしまった。
雨宿りするにも、1番近くで雨宿りできる場所はホテルしか無い。
春くん以外の人と、ホテルになんて入りたくない。けれど、流石に体が限界を迎えているようで、吐く寸前まで込み上げてきていた。
「……後で俺からも三途に電話してやるからとりあえず入るぞ。」
ホテル内に入ると、私はとりあえず御手洗へと駆け込んだ。嗚咽混じりになりながら、嘔吐してしまい、目に涙が溜まってしまう。
きっと、私……妊娠しているのだろう。
勿論、避妊はしていた。だけど、ちゃんと防いでいるつもりでも100%では無い。
その数%の可能性を引いて、妊娠してしまった。
仕事でバタバタしていたり、春くんと忙しなく過ごしていて気にも止めてなかったけど、今月を入れれば3ヶ月は生理がきていない。
嘔吐して少しスッキリした私は、部屋に戻った。戻ると、蘭さんは誰かに電話していた。
「お前が思ってるようなことは何もねえから。たまたまだって言ってんだろ。」
スマホ越しに無駄に大きな罵声が聞こえる。……きっと春くんに電話してくれているのだろう。
電話を切った彼が、振り返って私の姿を捉える。
「なぁ、もしかしてAちゃん、妊娠してんじゃねえの?」
冷静なまま彼に言われ、内心ドキッとしてしまう。冷静な時の彼は、思っていた以上に的を得た事を言うし、よく見ているようだ。
妊娠しているかもしれないという事実を、まだ受け入れたくない私がいる。
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さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした!(土下座)こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω`*)ずっと待ってたかいがありました!無理せずに更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました!ぜひ読んで下さい!完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります!ありがとうございます! (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜!! 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください!応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです! (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年2月20日 0時