帰宅したら家に反社がおりまして。【三途春千夜】

23 心配 ページ24

「ただいま。」

「……A、大丈夫か？顔色悪い。」

やっぱり顔色は戻っていないようで、春くんにも「おかえり」よりも先に顔色の事を触れられてしまう。

体調自体はそこまで悪くないのに。

こんなんじゃ、春くんに迷惑かけちゃうから早く何とかしたいところだ。生理が早く来ればきっと今よりかはマシになるはずだ。

生理痛という敵がいるけれど。

「今日は大丈夫。今から買い物行ってご飯作るから待ってて。」

「Aは座って休んでろ。俺が行ってくる。そんな青白い顔で買い物なんて任せられる訳ねえだろ。」

「……迷惑かけてごめんね。」

私が、彼に負担をかけてる。それが申し訳なくて謝ると納得のいかなさそうな顔をされてしまう。

「迷惑かけていいんだよ。ごめんじゃなくてありがとうって言え、バカ女。」

久々に春くんの口から「バカ女」って言葉を聴いた気がする。付き合う前は散々使い回していた捨て台詞のようなものだったのに。

今の「バカ女」は、どこからか愛を感じてしまうから口元が緩んでしまう。

「うん、ありがと。春くん。……大好き。」

大好き以外の言葉が出てこない。本当にそのくらい彼が大好き。いつも通りになったらご飯も作るし、沢山イチャイチャもしたい。

春くんから、軽く落とされるような触れるくらいのキス。これだけでも満たされて、安堵出来てしまう。

春くんが買い物に行くのを玄関先まで見送り、ソファに腰かける。最近、やっぱりちょっと休もうとするだけで眠気が私の体を蝕んでくる。

これも生理前の症状なのだろう。予定日は、ちょうど明日。明日には来るはず。

春千夜side
ここ数日、Aの体調が悪い日が続いている。生理前だからか？とは思うけれど、今までこんなに体調不良だった事あるか？と心配になる。

ぼーっとしてることも多いし、眠そうにしていたり、今日も顔色がかなり悪かったり。

正直、イチャイチャ出来ないのもしんどいけど、何よりもAがつらそうなのを隣で見てるけど、何もしてやれないのが悔しい。

生理がきたら、今以上に労わってやろう。

……アイツのご飯、胃に優しいものにしてやるか。

ずっとAの事ばかり考えている俺も大概だと感じながらもAの事を考えてる時間は幸せだったから何だって良かった。

そんな俺たちに少しずつ亀裂が入り始めている事に気づかずに。

盲目っていうやつなのか、幻想っていうやつなのか。それに邪魔されて目の前の事が見えていなかった。

24 甘々対応→←22 顔面蒼白

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す