15 美人が故に ページ16
竜胆side
「出来れば手短にお願いします。」
駅近くのカフェに入り、向かい合う俺たち。メニューを開きながら淡々と告げる彼女は店員を呼んで、珈琲を頼んでいる。
冷酷にも捉えられるくらいのクールぶりは三途に微笑んでいる可愛らしいあの笑顔を連想させる余地もない。
三途がいなければ、こんなにも表情が貧困になるなんて予想にもなかった。
……というよりかは、俺だから警戒していると言った方が正しいのかもしれない。
兄貴があんな事しているのだから無理もないだろうけど。
「単刀直入に言う。……兄貴には気をつけろ。」
「はい?」
訳が分からないと言いたげに表情を歪める。美人顔だからか、その表情そのものに妙に迫力があり、怒らせると怖そうな印象を与えられた。
突然、気をつけろと言われても何を言ってんだ、コイツ。となるのは承知の上だ。
「自分の兄貴に対してこんな事言いたくないけど、好かれたら厄介だから。」
「え、嫌われているの間違いでは?」
どうやら彼女は自分が好かれてはいないから三途との仲を邪魔されていると思っているらしい。
それは大きな間違いだ。確かに、兄貴は興味本位でAさんに近づいた。
きっかけはそれに過ぎない。でも……頑なに振り向こうともしないAさん対して何か、闘志を燃やされたのかそれとも本気で落としたいのかは不明だけど、三途とAさんの邪魔をしたくて仕方がないのは事実だ。
重たい空気と沈黙が流れている中、明るい声が俺たちの空間に割って入ってきた。
「おまたせしました。珈琲になります。」
コトン、と机に置かれるのを見届けて、軽く会釈をする彼女。店員がどこかへ行くと、珈琲グラスを持って、口付けた。
「……蘭さんが、厄介なのはもうとっくに知っています。」
苦虫を潰したような表情を浮かべていた。
しかし、そのすぐ後にハッとして、失礼な事を言ってしまったと言わんばかりに焦りを見せ、やや慌てている様子を垣間見る。
こんなに表情がコロコロ変わっていくのに、笑顔だけは見せてはくれなかった。
「ま、そうだよな。」
会話を紡ぎながら、自分の心の底にある本音に納得するような返事をした。
「話がそれだけなら、急いでおりますので。これで失礼します。」
立ち上がろうとする彼女を引き止めてさらに言葉を紡いだ。
「兄貴が何かやろうとしたら俺が連絡してやる。」
彼女はぽかん、としながらもう一度椅子に腰掛けたのだった。
1797人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした!(土下座)こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω`*)ずっと待ってたかいがありました!無理せずに更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました!ぜひ読んで下さい!完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります!ありがとうございます! (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜!! 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください!応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです! (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきな。 | 作成日時:2022年2月20日 0時