先に行くあなたへ【黒尾鉄朗】 (ページ10)

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「よぉーーし！！遠征だあーー！」

「ちょっと虎！静かに！」

「あっ、Aさんすいませんっ。」

わいわいと騒がしいこの赤い集団。

ただでさえデカくて目立つのに…

久々の遠征で皆浮き足立っているみたいだ。

(何名かを除いて)

「おーい、全員揃ったな！新幹線の中ではくれぐれも迷惑にならないようにしろよー！」

「「はいっ！」」

黒尾の声に皆の空気も締まり、ぞろぞろと新幹線に乗り込んでいく。

私は大きな荷物の隣に座った。

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あ、そうだ。向こう行ったらやる事確認しておかなきゃ。

普段と勝手が違う所だともたついちゃうかもしれないし。

「えーーっと、旅館に荷物置いたら体育館行って、スコアとドリンク作り…早めに旅館戻って夕飯作り…が18:30…

1日目が槻木澤高校で、2日目が烏野でしょ、3日目が青葉城西…」

「なーにブツブツ言ってんの、A」

「わっ！黒尾、」

前の席に座っていた黒尾が顔を出てきた。

「ごめんうるさかった？対戦相手の確認とかしてて…」

「いやそれは大丈夫～あ、その烏野ってとこ、昔よく試合してたんだってよ。」

「そうらしいね。私もちょっと聞いたよ。ゴミ捨て場の決戦?とか言われてたって…」

「へぇー！結構有名だったのかもな。

あ、3日目の青葉城西はセッターがなにやらすげえやつらしい。宮城で賞とってるとかなんとか…「黒尾先輩！ちょっといいすか！」

あ、わり、また後でな！」

うん、と返せば黒尾は呼んできた後輩に体を向けて、なにやら話し始めた。

おそらく試合の進め方とかローテーションについてだろう。

私はまた遠征の資料に目を向けた。

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私が宮城に住んでたのは小中学生の時で、期間は2年半とかそれくらいだ。

だけどその間、

学校に行かない私を連れ出そうとしたり、

元気がない私にいつも笑いかけてくれた人もいた。

進んだ高校って、確か青葉城西高校…だったはず。

そうだったよね、徹君。