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土地勘のない近所を歩いて1〜2分


申し訳程度にブランコが置かれた、簡素で小さい公園を見つけた。


私はそのブランコに座って考えを巡らせた。





あぁ、もうすぐあの家出るんだ…。



嫌ではないな。




でも、新しい場所が今よりも嫌いな所だったらどうしよう。





「ふぅ。」


まだ朝と言うには早い、そんな空気が気持ちよかった。




このままここで野垂れ死んじゃおうかな。



なんてあほなことを考え、



ブランコの手すりに寄りかかって目を閉じた時










ワンッ!ワンワンッ!!




「、うわっ。」



私の足元で茶色の毛をした犬が走り回っている。





「ちょっ、ココアダメだって。あ、ごめんなさ〜い!」




上に目を向けると、スポーツウェアをまとった少年がいた。



「や、大丈夫だから…どけて、これ…。」




「え、犬苦手だった?!ごめんね〜。」


そう言ってひょい、と犬を抱き上げた。




少し馴れ馴れしい少年の口調は、この場の緊張感を消し去った。




「いや…苦手っていうか、触ったことないから…。」




「えっそうなの!!勿体ない!ココア優しいよ、撫でてみたら?」



そ、とその犬を私の方に寄せてきた。




私は恐る恐る犬に手を伸ばし、ちょんと触った。




「…!ふわふわだね、気持ちいい。」



「でしょ〜!トイプードルって言うんだよ。

あ、ていうかこんな時間に何してるの!?もしかして君も修行?」




時刻は午前4時半、確かに普通なら寝ている時間だ。



「修行…?じゃないよ。ただの…散歩。」



「へぇ〜朝早いね!俺はね〜ココアと一緒にロードワークしてるんだ!これでスタミナつけるの!」





「ふぅーん…邪魔したかな?ごめん、続けていいよ。」




手を出口の方に差し出した。









のを両手でぎゅっと握られて、




「ほんと!じゃあもう少し喋ろうよ!

俺友達少ないからさ〜仲良くなりたいな〜!」






ロードワーク、しに行っていいよって意味だったんだけど…。



ていうか、こんなフランクな人間で友達少ないって







絶対うそ。






私はコク、と頷くしか出来なかった。






「ねぇ君なんて名前?てか近所に住んでるの?」



隣のブランコに座った少年は、体を寄せて聞いてきた。




「えっと…志田 A。苗字は今は違うけど。家は…今は近所。」




「へぇ〜!俺及川 徹!よろしくね!」




その時の太陽みたいな笑顔に、私はここにきて初めて眩しいと感じた。

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設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗 , 黒尾   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:すうぎ | 作成日時:2020年3月27日 3時

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