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【33】※ ページ33








中1の春、いつものように誰もいない早朝にシャワーを浴びようと1階に降りた。



4時くらいだったと思う。




風呂場に続くドアを開けようとしたとき、リビングの方から声が聞こえてドキリと強ばった。




あ、やばい、後にしようかな



と踵を返そうとしたとき、聞こえてきた単語に固まった。




「……〜!…だからAはいい加減施設に入れましょうよ!!」






え、私のこと話してるのかな。



思わずリビングに続くドアにピタリと耳をつけた。





「…そうだな…。そういえば、あそこの施設長はなんだって?」




「1〜2ヶ月待てば空きがあるそうよ。あそこなら口も固いし。…はぁ、やっとね。」




「…あぁ。探すのに大分手間取ったな。」




「ほんとよ!!あんた何にもしてくれないんだから。」




「悪かったよ…。俺はみどり達の方で忙しくてな。」




みどりというのはいとこの1人で、この家の長女のことだ。





「まあ、そうね…。じゃあ、あと1〜2ヶ月の辛抱ってとこね。」




「あぁ…本当はすぐにでもと思っていたが、母達の手前暫くは預かるしか無かったんだ。お前はよくやってるよ。」





「ほんとに思ってんのかしら。…まぁ、自ら死んだりなんてされちゃ洒落になんないもの。仕方ないわ。」





「…はぁ…いい加減寝よう。今日もみどり達の稽古があるんだから。」



「そうね。」



そう言ってガタリと椅子を動かした音がした。






や、やばいこっちに





小走りで風呂場にしゃがみこんで隠れて、何とか見つからなかった。



2人は2階に上がったようだ。












ポタ、と薄い半袖に染みができた。





「……ぅっ、…。」





嗚咽を漏らすまいと必死になると、目からより涙が漏れてしまうことは随分前に学んだ。

















あぁ、分かってたじゃないか。





初めからそうだっただろう。





たまに見せる叔母の優しい表情は、私を揺さぶっていたみたいだ。






「…ふ…。」




いい加減涙を止めたくて、無理やり笑ってみた。



頬が引きつる。









結局シャワーも浴びずに、その場に10分くらいいた気がする。










この日、私はこの家に来てから初めて自分の意思で外に出た。







普段誰も使わない裏口から、とぼとぼと歩き出す。











なんだかもうどこかに消えたかった。









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設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗 , 黒尾   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:すうぎ | 作成日時:2020年3月27日 3時

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