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「え……。」
「おいクソ川ァ!どこ行ってたんだよ!
お前ファンの対応はちゃんと注意しとけっつったろ!」
「あ、うんごめん岩ちゃん……じゃないよ!!この子俺のファンじゃないよ?!」
「えっ」
「ていうか!え!!
Aちゃん…だよ、ね?」
あ、その優しい顔、
同じだ。
「うん……あの、徹君…なんだね。また会えるなんて思わなかった。」
「俺もだよ!あの時なんも言わずに居なくなって…って、岩ちゃん?!」
突然、岩泉さんが私にビシッと頭を下げてきた。
「わりぃ!!俺、人違いしてたみたいで。
キツくあたっちゃって、本当ごめん。」
あ、やっぱり勘違いしてたんだ。
「ちょっと岩ちゃん!?この子に何行ったのさ!
どうせ怖がらせる様なこと言ったんでしょ!」
「うるせぇ!元はと言えばお前が最近チャラチャラしてっからだろうが!」
2人の掛け合いが面白くて、なんだか涙も引っ込んだ。
「私こそ、分かりにくい態度とってすみませんでした。もう大丈夫です。」
そう言うと、岩泉さんに少し渋い顔をされた。
「いや、でも泣かせちまったし…。」
「岩ちゃん!?そんなキツいこと言ったわけ!?信じらんない〜。
Aちゃん平気?」
「うん!ほんとに大丈夫だから!」
そう笑いかけたら徹君も笑った。
「あ!それよりAちゃんはなんでここにいるの?
うちの学校、一応他校生は立ち入り禁止なんだけど…」
「あ、それは今日練習試合で…。」
「「え!バレー部!?」」
2人の声が重なった。
「あはは。うん、そうだよ。
実はマネージャーやってまして…さっき顔合わせのときは仕事でちょっと抜けてたからいなかったんだ。」
「そうだったんだ〜。ごめんね、全然気が付かなくて。」
徹君は少し申し訳なさそうに私を見た。
「ううん。試合に集中してたってことでしょ。」
「うん。そうだね…
あ、じゃあAちゃんは今東京にいるんだ。」
「なあ、お前らってどういう関係?
同級生なら俺も知ってるはずだけど…。」
岩泉さんが私たちを見て言った。
その目には疑問がいっぱいで。
「うーん、前に話さなかった?
ほら、中学の頃にさ〜よく会ってる子に会わせたいから朝公園来てって頼んだ時あったじゃん。
この子のことだったんだ。」
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作者名:すうぎ | 作成日時:2020年3月27日 3時