【26】黒尾side ページ27
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「…なるほどね。」
一連の流れを聞いた海は静かに頷いた。
「いや、謝ろうと思ってんだけどなんかタイミング掴めなくて。
気まづくなる前に…って思ってるのにさ…。」
「そっか。うーん…でもさ、もしAが怖がったりしてるならもっと態度に出ると思うよ。
もっとあからさまに避けたりとか…
だから黒尾が怖いわけじゃないと思うけどな。」
確かに…
Aは隠し事とかその類がすごく苦手だ。
以前部活メンバーで俺の誕生日サプライズをしてくれた時も
朝から挙動不審で妙にあたふたしててすぐ分かってしまった。
なんていうか、嘘つけない性格なんだ。
「だから、気まづくなる前に謝った方がいいんじゃない？Aは声掛けにくいんだよきっと。」
「…そうだな。うん、変に伺ってないで早く話すタイミング見つけるわ。」
「うんそうしなよ。
あ、それから、A困らせるようなことするなよ？」
「へ、何だよそれ。困らせることって？」
「分かってるくせに…。」
いつもの笑顔で言われた。
「……。」
いや、正直分かってるのかもしれない。
俺らは部員で仲間で友達だ。
その関係にヒビ入れる様なことをしてはAが困る。
昨日のあれは俺のするべき事じゃなかった。
気まづくなるのは俺だって困る。
そういう事だろ？
「ハァ…海さんにはほんとかないませんな。
…分かってるよ。」
眩しい太陽を見上げて言った。
最後尾でAと研磨の話す声が聞こえる。
楽しそうな明るい声だ。
海は何も言わなかった。
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作者名：すうぎ | 作成日時：2020年3月27日 3時
