【25】黒尾side ページ26
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「黒尾〜はよ。遅かったな〜。」
食堂で話しかけてきたのは朝からめっちゃ食ってる夜久。
「あ〜はよ。いやちょっと髪がはねてたんでね、直してて…」
「え?それで直ったの?」
怪訝な目を向けられる。
「やめろぅ。これで通常モードですぅ!」
なんてケラケラ笑う。
「あ、そういえば、これ。」
「え?」
夜久は椅子の後ろに掛けていたものを取り出してきた。
「これ。Aが渡してくれってさ〜。さっき会って。」
「え……あ、あぁ、そうそうちょっと貸しててね。」
それは紛れもなく昨日俺が貸したパーカーだった。
「おい〜〜、黒尾サンこれ貸したの?Aに??へぇ〜〜やるね〜。」
ニヤニヤした目でこっちを見てくる。
「いや寒そうだったからほんとにちょっと貸しただけだって。
夜久が期待してるようなことはありませ〜ん。」
「ふ〜ん、なんだ。」
残念なものを見るような目でこちらを見てくる夜久サン。
「…おいッそんな目で俺を見るなっ。」
「いやあ?黒尾ってほんとすぐそういうことしちゃうんだからね〜ったく。
天然タラシってやつかあ〜?」
「はあ?なんだそれ。」
天然タラシ?
俺が?
いやいやないでしょ、そもそもそんなにモテねえし。
「まあいいけどさ〜、あ、それよりさあ…」
別の話題に切り替わって、なんでAが夜久にパーカーを預けたのか聞きそびれてしまった。
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「おーし!じゃあ青葉城西向かうから、ちゃんとついてこいよー!」
「「オース!」」
結局、Aとは昨日のあれからまだ話していない。
くそ、朝イチで謝ろうって決めてたのに。
てか、なんでパーカー夜久に預けたんだ?
直接渡してくれればいいのに…。
いや、やっぱ怖かったのかな、それか痛かったとか。
「はあ…。」
思わずため息が漏れた。
「どうしたんだ?黒尾元気ないけど。」
話しかけてきたのは海だった。
「あーー、いや、何でも…」
「何でもねえはナシだよ。何でもなくないんだから。」
と、こちらを向いて微笑んできた。
これは…
隠し通せそうにない。
「ははっ、かなわないわ〜。
いやぁ……Aとちょっと喧嘩?しまして、ね。」
「え?Aと?」
「うん。それでちょっと気まづいというか…。」
って言ったら少し興味深そうな顔をされた。
Why?
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作者名:すうぎ | 作成日時:2020年3月27日 3時