【19】 ページ20
・
「私、黒尾のことすごく好きなの。
もちろん皆のことも大好きだよ!
だけど、黒尾が友達にかっこいいって言われてたら嫉妬しちゃうし、バレンタインにチョコ貰ってたら誰に貰ったんだろうって気にしちゃって。
…本当は黒尾の1番になりたいんだ。」
「そっか。」
「だけど、今は私も黒尾も部活が1番大切で、その次に進路?
……分かんないけど、今は伝えるべきじゃないって思うんだよね。
それに、黒尾は私のことそんな風には見てないと思う。
……だから、邪な気持ちがある自分がすごく嫌で、私も部活だけに集中したいって思うけどっ…でもっ、」
あれ、なんか涙出てきた。
あれ、なんで止まらないんだろう。
「A、A。
大丈夫だから、ほら落ち着いて。無理に話さなくていいよ。って、俺が話させたのに泣かせてごめん。」
向かいの椅子に座ってた海は私の隣に座って、少しだけ背中を撫でた。
大きな手がすごく安心感があって、すぐに落ち着いた。
「あ、そうだ。1本ジュースあげるよ。どれがいい?」
向かいの椅子に置いていたたくさんのジュースを指さして言われた。
「え、でも皆のじゃないの?」
「帰りに買い足してくから大丈夫だよ。」
「そっか。え〜っと、じゃあカルピス貰おっかな。」
「はい。」
「ありがと。……ん〜喉乾いてたから美味しい!
ごめんね海突然泣いたりして。」
ジュース飲んだら、なんだか落ち着いてしまって
さっきはびっくりさせたかな、と反省する。
「いや、それはいいけど、Aこそ大丈夫?
なんか無理に話させちゃったかな。」
心配そうに顔色を伺われて、首を左右に振った。
「…本当は誰かに聞いて欲しかったの。
だから今海に聞いて貰えてよかった。
私、自分で思ってるよりも黒尾のこと好きなんだなあ〜。ははっ。」
「うん、そうだね。
……でも、それは悪いことじゃないよ。
それに、Aは誰かを好きでも好きじゃなくても部活頑張ってると俺は思うけどなあ。」
あ、それちょっと言って欲しかったやつかも。
「そうかな…。」
「うん。だから今は伝えないにしても、
気持ちは殺さなくていいと思うよ。
もし、吐き出したくなったら言ってよ。いつでも聞くからさ。」
その言葉が、なんだかストンと心に落ちた。
そっか、やめなくてもいいんだ。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すうぎ | 作成日時:2020年3月27日 3時