【18】 ページ19
「……え、」
「つまり告白とか〜……って、俺が気づいてないと思った？」
「え、いやちょっと……私は別に…」
冷や汗が背中を流れた。
だって、誰にも気づかれないようにって…
「……ごめん。隠してたなら、なんか暴くみたいになっちゃって。でも黒尾は絶対気づいてないと思うから…」
「ほんと！！？」
思わず食い気味に返してしまって、
しまった、と思ったがもう遅かった。
「やっぱり、黒尾のこと好きなんだね。」
「え゛っっ、あ…」
なんていうか、隠していた宝物が見つかってしまった時みたいに固まってしまった。
「そんな顔しないでよ、A。
俺誰にも言ったりしない。安心して。
カマかけたみたいでごめんね。」
「……う、うん。
いや、海が言いふらしたりするなんて思った訳じゃなくて、ただ自分的に隠してたかったっていうか…」
「ふふ、いいよ分かってるから。」
いつもみたいに優しく微笑んで、海は続けた。
「デリカシーないこと聞いてごめんね。
ただ、Aはずっと留めてて辛くないのかなって。俺たちにも隠すって、結構難しいことだと思ってさ。」
「……いやあ、ほんと海さんには隠し事出来ませんなあ。」
出口から見える星空を眺めて言った。
「だったら、今全部吐き出してみたら？
黒尾にも夜久にも他の部員にも言わないし、Aが忘れて欲しければ、ここ出たら忘れるよ。」
なんて、真剣な眼差しで見てくるのずるい。
部員にも、友達にも言いたくなかったわけじゃない。
誰かに言って肯定されたかった時もある。
でも、それ以上に今この時間を大事にしたかったんだ。
だけど、そんな風に言われたら、思わず縋りたくなる。
「ほんとに？忘れてくれる？」
「うん。忘れるって言うか、"気にしない"なら出来るよ。Aにも黒尾にも今まで通り。
変に詮索もしない。
大丈夫だから、言ってごらん、A。」
そう言って微笑んだ海があまりにも優しくて、
何だか泣きそうになった。
「海…あのね…」
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作者名：すうぎ | 作成日時：2020年3月27日 3時
