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「今日はありがとな。研磨のわがまま聞いてもらって。」
「いやいや、大丈夫だよ。
それにいい試合出来てたしね。」
「Aのおかげだよ。まったくもう、研磨クンはすぐAに頼るんだからね〜。」
「ぷっ、黒尾お父さんみたい。
でも私は研磨がいつも頼りにしてくれて嬉しいけどね。なんか弟みたいで。」
何かと黒尾と一緒にいることが多い研磨だけど、私にはなかなか懐いてくれている。
それこそ猫みたいに、するりとやってきてはポツポツと喋ったりするのだ。
「ま〜Aがいいならいいけど…」
「それに！今日スポーツショップで明後日対戦する人と会ったんだよ。
サポーターの場所教えてくれて。駅まで送ってくれて…
いい人だったなあ。」
花巻君のことを思い出してそう言う。
明後日の対戦相手(しかも強豪！)と会うなんて凄い偶然だな〜なんて、のほほんと考えていた。
「いやあ凄い偶然だね。明後日が楽しみ…」
けど、黒尾は
「それって青葉城西の人？
…どんな人だった？」
何だかピリッとした面持ちで聞かれた。
ん？なんか怒ってる？
「ん〜いや普通に優しい人だったけど…
身長は黒尾と同じくらいで、短髪で…」
「ふーーん。」
「えっえ、な、何？その人に心当たりが…？？」
「ちっげーよ、ばあーか。」
「え、いきなりひどっ」
なんもしてないのに馬鹿って言われた今！
「何が馬鹿だっ…「そんな風に、男にホイホイ着いてくなんてばーかって言ったの。」
そう言った黒尾は、洗い終わって乾かしていたボトルをコツンと頭に当ててきた。
夕焼けに染まった黒尾の頬が心なしか赤く染まっている。
「いくら親切でもバレー部でも、
男なんだから、ちゃんと危機感持ちなさいよ。」
そっか。確かに、出会ったばかりの人に着いてくなんて軽率だったかもしれない。
「うん…そうだね。」
「分かったならよし！
A危なっかしいからな〜。
俺らのこともちゃんと頼れよ。」
「わっ、分かった。」
その言葉に、黒尾はにかっと笑った。
なんだかまぶしい。
「あ、引き止めて悪かったな。もう行くだろ？」
「うん。夜ご飯作るからもう行くね。」
歩き出したあと、
自分の頬が熱くなっているのが分かった。
もう、だめなのに…
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作者名：すうぎ | 作成日時：2020年3月27日 3時
