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「ただいま!」
「おかえりおかえり」
帰ってくるなり飛びついてきた流星は、だいぶご機嫌でいつもにましてかわいい。
「なんかいいことあった?」
「ううん、帰ったら大ちゃんがいることくらいかな」
「なにそれもーかわいいなぁ」
確かに最近は、仕事の都合ですれ違いが多かったかも。
手を伸ばしてくるから素直に抱きしめて、俺は用件を思い出した。
「そうだ、あのさ」
「うん?」
「さっき昼寝しようと思ったら、枕がクローゼットにあったんやけど」
「⋯⋯え?」
「あれ、流星が入れたんやないの?」
むしろ違ったら大問題だ。誰かしら侵入者がいたことになる。
「え、えーっとね⋯⋯」
「?」
流星にしては珍しく、歯切れが悪い。
じーっと見つめると、観念したようにため息をついた。
「⋯⋯怒んない?」
「いや、元々怒ってはないけど」
「引かない⋯⋯?」
「大丈夫、流星やし」
「うん⋯その⋯いつもやってるの⋯⋯」
「い、いつも?」
想定外の言葉に慌てた。
ぼぼぼ、と顔を真っ赤にして流星がうつむく。
「や、やってね」
「うん」
「やってね⋯⋯だ、大ちゃんの匂いが無いと寝れないんやもん」
「へ⋯⋯」
唖然とする俺を前に目を潤ませた流星は、そのままうわーんと泣き出した。
一年に一度あるかないかの事態に、大慌て。
「ちょ、なんで泣くの」
「っこんな子供っぽいとこ、知られたくなかったもん⋯っ」
「全然いいよ、めっちゃかわいいやん」
ずびずびと鼻をすすりながらしがみついてくるから、頬がゆるむのを押さえきれない。
知られて泣いちゃうとこまでセットでかわいい。
やっぱり流星はかわいいの固まりだ。
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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時