story58 ページ10
Aはレベッカにエスコートされたまま、シャンパングラスを持たされた。横で招待客に挨拶をする彼女を見つつ、こっそりため息をつく。
(なんだかなぁ。結局こいつにはバレるし、アイツらは事の成り行きを楽しむ気満々みたいだし…)
どうやってレベッカの隣からいなくなればいいのか、という点に思考を巡らせているうちに、レベッカのグラスが高く掲げられた。
「私達、女の語らいに」
「「「乾杯!」」」
上品にではあるが乾杯の言葉に合わせ、グラスを掲げる。するといち早く、レベッカのグラスがAのグラスに接触してきた。
「ふふ、わたくし達は、奇跡の再会に乾杯、ですわね」
「そ、そぉですね……」
思い切り顔が引き攣るものの、彼女がそれを気にする様子は微塵もない。わらわらと群がってくる女性達…おそらくレベッカとの繋がりを作りたい様々な家柄の女性達に囲まれる前に、Aはドレスを片手で摘んで頭を下げる。
「ミス・コルニコフ…」
「レベッカとお呼びくださいな。貴女はもう、マース様のものでは無いのですから」
「…ではレベッカ様、私は一度、主たちの元に参りますので…」
「あらあら、そうね。放っておくのは淑女としてしてはいけないわ。いってらっしゃい」
そしてまた、戻ってきてね。と吐息混じりに耳元で囁かれ、全身が悪寒で震えた。もはや邪念だこれは。なんとか笑顔を維持して囲みを抜け出し、ふぅとため息をついた。会場には宝石や絵画、美しい服などが展示されている。その中でも異色なコーナーがあった。銃や拷問器具を展示してある一画だ。そこに集まる三人を見つけ、歩きにくいヒールでなんとかたどり着く。
「お、お姫様の登場だよ♦️」
「誰がお姫様よ…もう嫌、帰らせて」
「ダメだって。あの絵とか、すごく価値があるんだよ?運ぶのに車は必須」
「ならせめて車で待機」
「だーめよ。Aが居なくなたら、あの女が騒ぐね」
「………もう嫌……アイツと顔合わせたくない……」
ふぇええん、と泣き出しそうな情けない表情を見ても、三人は表情を変えなかった。
(ふふ、そういう表情もなかなか…♣︎)
(こういう所は昔と変わらないんだなぁ)
(…そういえば、フィンとノブナガに弄られていた時がこんな感じだたね…)
(なんでもいい…アイツの近くにいたくないよぉ…)
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累 - とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時