Story97 ページ49
フェイタンの手刀がひらめく。それは首を落とすことなく、男の両腕を切断した。
「うわぁああああっ！？俺、俺の腕、腕がぁあああっ！」
返り血に塗れるフェイタンを、美しいと素直に思った。真っ黒な髪、真っ黒な装束。対照的な白い肌につく返り血を拭い舌なめずりするその男に、色気を感じて。
(私…興奮、してる…？)
食い入るようにフェイタンを見つめる。自分でも理解のできない感情が、ぐるぐると身体中を駆け巡った。彼に拷問された時はそんなことを感じなかったというのに、今、間違いなく、Aはフェイタンに抱かれたいと思っていた。彼の手で、むちゃくちゃにしてほしい。容赦なく追い立て、上り詰め、彼を感じたい、と。
(え、なんで…？)
戸惑っていれば、男のほうを向いていたフェイタンがこちらを振り向く。妖艶な笑みを浮かべたまま。
「そんなに見つめてどうしたね？」
「…、別、に」
「嘘ね。…お前、今のワタシに興奮してるか？」
一歩、また一歩とこちらへ近寄ってくる彼の視線に射すくめられ、動くことができない。汚い男の悲鳴をＢＧＭに、血濡れたフェイタンの指がそっとAの頬に触れた。びくっと身体が動いてしまったのを、彼は見過ごさない。
「クク…。変態よ」
「う、るさ」
「息を荒くして、顔も赤い。下は濡れてるか？」
「そんなことっ！」
「嘘をつくだめな口は、塞いでやるね」
首を引っ張られ、噛みつくように口づけをされた。無理やりねじ込まれた舌が、咥内を蹂躙していく。
「ンっ、ンぅ、ぅー！」
ドンドン、とフェイタンの肩を叩いて抗議しても、口づけは止まらない。それどころか鼻から入ってくる空気に混じる血の匂いが、さらにAを追い立てる。角度を変えて酸素すら貪り尽くす勢いで絡ませた舌をがりっと強く噛まれ、痛みが走った。咥内ににじむ血と唾液を混ぜ合わされ、それを無理やり飲み込まされる。その頃にはもう、フェイタンの巧みなテクニックで膝から力が抜け、抵抗していたはずの腕は彼にしがみつき、唇が離れればふらふらと座り込んでしまった。
「ククク…いい姿よ、A」
「…フェイタンの…馬鹿…」
「続きは、ホテルに戻ってからじっくりシてやるね」
見下ろしていたフェイタンの視線が外れる。まだ呻いている男を冷たく一瞥した彼には、もう殺しによる高揚感はないようで。
(無言で彼の首を刎ねたフェイタンの背中を見ながら)
(早く、早くと)
(それだけしか考えられなかった)
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累 - とても面白いです！つづき楽しみにまってます！頑張ってください、応援してます！ (2020年4月6日 12時) (
レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます！ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします！ (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が！まだわかりません！（←）でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします！ (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません！いつもありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです！早く更新停止が終わることを願ってます！頑張ってください！ (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2017年7月10日 18時
