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Story93 ページ45

その日、たまたまフェイタンの元へと依頼が入ってきた。蜘蛛とは関係のない、暗殺の依頼だ。標的は某マフィアの組員。裏切りをしたらしい…が、フェイタンにとっては、どうでもいいこと。それより、その依頼を聞いた時に思い浮かんだのは、つい先日思い出した、彼女との記憶。


『私はどんなフェイでも、フェイが好きだから。それでいいと思うよ』
『ワタシがAを標的にするかもしれないのに?』
『うーん…それはちょっとごめんこうむりたいかも。でも、フェイが楽しいと思うものはやってみたいし理解したい。仲間だし友達だし、命の恩人さんだしね』
『なら今度はAもついてくるといいね』
『そうしたいな』


あの後、実際に彼女を殺しの現場に連れて行ったことを思い出し、そして今回もそうしてみようと考えた。記憶を取り戻すきっかけになるかもしれない。…根拠はどこにもないのだが。そうしてアジトを訪ねてその話をすれば、Aは乗り気。クロロもいいんじゃないか?なんて簡単に許可を出したので、二人で流星街を出る。


「標的のいる街はヨークシン、だっけ。どうやって行くの?」
「走るの面倒ね。車パクるよ」
「運転は?」
「できないか?」
「できますけど。っていうか運転したじゃない、この間。…そうか、フェイタンだとアクセルに足が届かない?」
「痛めつけられたいか?」
「はーい、もう言いません」


ギロリとにらみつけてやれば、肩をすくめて両手をあげるA。その後すぐに適当な駐車場で手早く車の鍵をあけ、エンジンを繋いで。その手つきは、とても手慣れていた。そういうところは記憶がなくとも、身体が覚えているのか。それとも…マースのところで似たようなことをしたのか。どちらかだろう。まぁどちらでも、フェイタンには関係ないが。


「それで?どうやって殺すの?」
「標的に近づいて手刀で十分よ。能力者がいた場合にだけ、お前が動けばいいね」
「りょーかい。つまり援護だね」
「そうよ」


それだけ会話をすれば、あとは特に話題が出るわけでもない。暇つぶし程度のつもりで持ってきていた本を広げたフェイタンを横目に、Aはラジオのスイッチを入れてポップな音楽を流しながら運転を続けた。


(沈黙、ってのもよかったんだけど)
(せっかくのドライブ)
(私の気持ちが浮かれていたのもあって)
(ちょっとだけ明るい気分になりたかった)

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- とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時

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