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story88 ページ40

教会に戻ってきたAは、仲間たちが固唾をのむ中、クロロに歩み寄った。本を読んでいた彼が、顔をあげる。


「どうした?A」
「クロロ。貴方の口から教えてほしいの。…私はどうして記憶を失ったのか」
「…どうして、か。それは俺よりも聞くべき相手がいるな」
「誰?」
「フェイタンとフィンクスだ」


現場に居合わせたのは二人だけだから、と付け加えるように言われて、彼らを見る。二人はふいっと顔をそむけてしまった。フィンクスに至っては、ばつが悪そうな顔をして。


「フェイタン、フィンクス」
「……ワタシから話すことはなにもないね」
「おい、フェイ!」
「ワタシはもう、話したよ。それ以上のことはないね」


あまりのいいようにフィンクスが声をあげるが、それを無視してフェイタンは吐き捨てるようにそう告げてきた。悲しい、という気持ちがAの胸を満たしていく。そんな顔をさせてしまうようなことを、自分はしたのだとあらためて思い知る。フィンクスをじっと見つめると、彼もまたうつむいた。


「……わりぃ、でも俺も話したくはねぇ」
「それで私の記憶が戻らなくても…?」
「どうしても…口に出したくねぇってことはあるんだよ。わかってくれ」


すまないと心底謝る彼に、それ以上追及しようという気持ちが無くなっていく。それほど衝撃的な事だったのだろう。どんなことかは、わからないが。見るに見かねたシャルナークが、助け船をだした。


「でもさ、それ以外だったら答えられるよね?ほら、例えばフェイタンがAの名付け親だった…とか」
「……へ?私の、名付け親?」


シャルナークからフェイタンに視線を向ければ、くいと顎をあげた彼が小さく頷いた。


「その通りよ」
「なんで教えてくれなかったの!?」
「聞かれなかたからね」
「うっわひどい…。どんなことがきっかけで記憶が戻るかわからないのに…」
「Aが自力で思い出せれば、それに越したことはないね」
「そりゃそーだけど…」


そんな重要事項を、と言う気持ちは抑えきれずに彼を不満げに睨みつければ、フン、と鼻で笑われた。


(それにしても、そういえば、というレベルで気づいた)
(すべての記憶が無くなっても)
(私は私自身の名前を…フェイタンがつけてくれた名前だけを)
(覚えていたという事実)

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- とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時

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