story78 ページ30
事件の経緯を説明した後は、他の話になった。それはフェイタンとAとの出会いだったり、クロロたちの仲間になった後の日常だったり、蜘蛛が結成された後の日常の話だったり仕事の話だったり。すべてを話し終える頃には夕方になっていた。
「なんだ、こんなところにいたのかよ」
フィンクスの声が背後から聞こえてきて、ようやく二人は立ち上がる。
「何よ、フィン。邪魔しないでほしいね」
「なんの邪魔だなんの。つかA、お前ちょっと顔色悪いぞ?」
「…いろんなこと、いっぱい教えてもらったからね」
「ちぇ、なんだよ。そういうところはやっぱ変わらねぇな」
つまらなさそうに言いながら近寄ってきた彼は、大きな手でわしわしとAの頭を撫でた。
「全然戻ってこねぇから心配してきてやったのによ」
「ハ、フィンが心配とか笑えるね」
「誰がフェイの心配したっつったよ!俺が心配したのはAだ!」
「ははっ…ありがとう、フィンクス」
昔からよくつるんでいたというのも納得の掛け合いのテンポに、自然と乗っかれる。それが今のAと彼らの距離だった。それ以上は近づけない。でも。
「フィンクス」
「ぁ?ンだよ」
「フィンクスは、優しいんだね」
「なっ…ッバ、ちげぇよ!」
そうからかえばふんっと鼻をならして手を引っ込めてしまう彼の手首を、両手でつかむ。
「もっと撫でてよ。フィンクスに撫でられるの、結構好きなの」
「おいフェイ、なんでこんな緩んでんだこいつ」
「さぁ、知らないよ。少しは昔の雰囲気思い出した、違うか?」
「……まぁ、昔は確かにな。でも今は記憶、ねぇんだろう?」
「…戻ってないと、ダメかな。昔の私もそうだったって聞いて、少しうれしかったんだけど」
ごめん、と言って手をひっこめれば、ため息をつかれて。またわしわしと頭を撫でられた。
「わりぃ、ちょっとばかり戸惑っちまったってやつだ。いいんだよ、別に。俺たちは仲間だろ」
「…ありがとう、フィンクス」
「…チ、いつまでイチャイチャしてるつもりよ。いい加減離れるね」
「ぁ゛!?イチャイチャはそっちだろ!」
「ワタシはいいね」
「なんだその理屈は!あ、こらフェイ!てめぇ蹴るな!いてぇだろうが!」
「ささとAから離れればいいだけの話ね」
「だぁあああっ!」
(しつこくフィンクスを蹴るフェイタンと)
(そんなフェイタンに手を振り上げるフィンクス)
(彼らを見ていたら、心の底から笑える気がした)
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累 - とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時