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部活から帰宅して、のんびり過ごして身体を休めていると、夜の10時頃、スマホが振動する。
家でコンタクトは外しているから、スマホの文字なんて読めない。いや、私もこんなに視力悪くなるなんて思ってもなかったんだけどね。
だから、相手が誰かもわからないまま電話を取った。
「こんばんは、お疲れ様です。Aさん。」
『赤葦!?』
赤「はい、赤葦です。」
まさかだった。電話する約束もしていなかったし、かけるつもりもなかった赤葦からの電話。
それは私を舞い上がらせるには充分だったし、励ますことにも繋がった。
『びっくりした。赤葦も取り敢えず半分合宿お疲れ様。』
赤「ありがとうございます。俺も少し疲れたのでAさんの声聞きたくて。」
『そうか、私、木兎のお世話で疲れた赤葦を世話する係だっけ?』
赤「そうですよ。なのに弧爪と黒尾さんとは電話して俺には何も連絡ないし。酷い先輩ですね。」
普段クールな赤葦が珍しく拗ねたように話す。
『ごめんごめん。忙しいのに何も用事なく連絡するのもなぁって思ってさ!』
赤「それなりに多忙ですけど息抜きも必要なので。残り三日間は少しくらい構ってくださいね?」
『おー、私で良ければお安い御用だよ!』
赤「Aさんも、怒涛の練習大変ですね。あまり肩に力入れないでくださいね。何でも完璧にしようと思わないでいいですから。」
どうせ自分は課題だらけだって自己嫌悪の毎日で参ってるんですよね、なんて図星。
赤葦はこうやって本音をズバリと言い当ててくるからずるい。
『何でもお見通しってわけね?
頑張りたいのに自分に甘い自分がいるのが嫌になっちゃうよねー。』
赤「Aさんは自分でぐるぐる考えてしまうタイプでしょうしね。
弱音吐くなんてって思うかもしれないけど口に出すのは大事ですよ。」
『あれか、暑い時暑いって言った方が楽みたいな理論?
いやでも、なんか赤葦と話すようになって、いつも弱音ばかり言ってるの情けないや。』
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作者名:...syokatsu... | 作成日時:2022年9月23日 3時