私は師匠を信じない【HUNTER × HUNTER】

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「…き、」
「キルアのケチ！！！」
「あぁ！ケチで結、構、だ！！」
「ま、まあまあ。キルアはAが心配なんだよ」
「ゴンはキルアの肩持つの！？」

じろじろ、ちらりと周囲の人間の視線が少年らに向かう。

「お、坊主共ケンカか？」
「若いね〜！派手にやりなよ！」
(も〜！あんまりキルアとAを煽らないでよ〜！)

ゴンは困った顔をしたが、誰も助けてはくれない。天空闘技場で栄えるこの街は如何せん喧嘩に寛容すぎるらしい。

「いいよもう！勝手にエントリーするから！」
「そんな事してみろ！絶交だからな！」
「〜〜っ！！！」

少女は顔を真っ赤にして、わなわなと震える。今にもキルアに手を出しそうだった。

「〜っもういい！」

少女は身体ごとそっぽ向いて、天空闘技場とは逆方向へ歩いてしまう。

「A！どこ行く「トイレ！！！」…わかったよ、もー」

キルアもなんだかぷりぷりしてしまっていて、ゴンはため息を吐いた。

＊

どうしよう。と少年は思った。

言い過ぎ…言い過ぎではないだろ。ジュンゼンたる事実を言っただけだ。

だってアイツ、ちょっと前まであんなに重症、いや今だって十分重症の筈だ。なのにあんなにけろっとしやがって。

…俺らの修行にアイツを巻き込む必要はない。だってアイツはあんなに強いんだから。…だからこそ今、アイツは不要な戦闘は避けるべきだ。

万が一だってある。なのになんでアイツはわからないんだ？自分の限界を知るべきだ。

(…でも、やっぱりちょっと言い過ぎたかも)

＊

どうしよう。と少女は思った。

確かに身体の節々は痛むし、息が上がるのも早い。右の肺には異物感があるし、目の前は少し霞んで見えるし、キーンという耳鳴りはするし、若干貧血気味でフラフラする。

…キルアの言ってることは何も間違ってない。キルアは心配して言ってくれてるんだ


…でも、なんか、だってさ、嫌じゃん。

二人は強くなろうとしてるのに、私だけ置いて行かれてるみたいで。

そりゃあさ、私は強いけど。まだまだなんだよ私も。

(…なんかやだなぁ)

＊

二人とも不器用だなぁなんてゴンは思った。

二人ともお互いの事、友達として大事に思ってるのは確かなのに。言い方と受け取り方が下手っぴだ。

(…そこが可愛いなんて言ったら、二人とも怒ってくるだろうけど)

隣をぷんすこ歩くキルアにバレぬよう、クスッと笑う。

大変で厄介だけど、二人の隣はずっと楽しく居られるんだ。

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