私は師匠を信じない【HUNTER × HUNTER】

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「傀儡使いっていうからてっきり操作系かと思ってたんだけど、物理に対する反応がかなりイイ。喧嘩慣れしてるね。ガタイの良さ的にもパワー型の強化系でしょ。」

指輪の様に硬化していく少女の血液。やがてそれは先が尖ったメリケンサックに姿を変える。

「…だけど、それにしては『傀儡』の動きが精密過ぎる。」

傀儡から少女目掛けてまたしても無数の針が飛ぶ。少女は『堅』をしてそれを払い除けた。

「針にはいい思い出が無いから、やめろ。」

少女はジョッパーではなく、傀儡に話し掛けた。傀儡はビクリと反応する。何故だ？何故わかった？俺は今完璧に『傀儡』だった筈だ。

だって、これは、そういう念だ！

「『傀儡使いのジョー兄弟』ねぇ…。兄弟で負け無しっていう話を聞くに恐らくお前ら、ちょくちょく入れ替わってた(・・・・・・・)な？」

少女はジョッパーと傀儡の間を悠々と歩く。両者共に攻撃しない様子に腹を立てた観客はゴミを投げつけるが、少女はまるでスポットライトを浴びるかのように気取った余裕の笑みを浮かべる。

「確かそう…ジョッパー。その傀儡のボロ布下の顔はどうなっているんだ？」

「前歯が二本抜けた(・・・・・・・・)、間抜け面なんじゃないか。」

ここでジョー兄弟(・・)はいよいよ焦った。

(バラされたら終いだ！反則で即失格、俺もアイツも永遠にエントリー権を失う事になる！！)

嫌な汗が兄弟の頬を伝う。すぐに殺して口を塞がなければ。でも、どうやって？

「安心しろ」

絶望顔のジョッパーの肩を、優しく叩く。天女の様な顔をして少女は優しく告げる

「告げ口なんてしないよ。」
「二人で来られるくらいが丁度いい。」

ジョー兄弟は呆けた顔をして、意味を理解してから青筋をビキリと立てる。

「クソガキが！！！舐めやがって！！！」

ジョッパーは少女目掛けて拳を突き出した。


＊


「A、全然本気じゃないね。」
「そうだな。ヒソカとやってた時の方がイキイキもしてる。」
「ヒソカと…ですか？」
「200階クラスの方でしたよね」
「そ。アイツヒソカの弟子だからさ。」
「ええ！？…はー、でも納得っす。」

道理であの強さ、とズシはリングをじっと眺める。その横でウイングは少女の言葉を思い出していた。

『私があの子の師匠だったら多分、潰しちゃうから。』

(…あれは、潰され無かったからこそ出た言葉。)

ウイングはゴンとキルアをちらりと見てから少女に目を向ける

(…全く末恐ろしい)

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