私は師匠を信じない【HUNTER × HUNTER】

・ ページ24

「…なんか、Aアンチの比率高くねえか。」
「女の人を助けたって噂じゃ、ヒーローみたいな扱いだったのに。」
「ヒーローとして扱われたのは、『黒髪金目の少年』。その正体は『昨年200階クラスの猛者に恐れおののき失格となった少女』」
「はァ！？」
「それ、どういうこと！？」

ウイングの発した言葉に食ってかかる二人。ウイングは冷静に言葉を返す。

「…これも『噂』です。ネガティブキャンペーンといった所でしょうか。」
「ねが、ねがふふひゃんぺーんってなに」
「ネガティブキャンペーンな。イメージダウンさせる戦略の事だ。」
「私がこの噂を聞いたのは二日前。恐らくジョー兄弟がAさんのエントリー時に戦歴を調べあげ、流したのでしょう。」
「…多分だけど、ギドって奴を使ったな。」
「なんで？ギドは去年Aに負けたんでしょ？誰も『Aがビビった』なんて噂、ギドの口からじゃ信じないんじゃない？」

ゴンにしては鋭い。しかしキルアはにやりとして言った。

「多分ギドはこう言った筈だ。
『俺に勝った後(・・・・・・)、あの餓鬼は調子にのって200階きっての猛者に喧嘩を売ってボコボコにされて逃げ出した』ってな」
「嘘ってのはホントの事を混ぜると信憑性が増すんだ。」

何故か得意げなキルアにゴンはあははと笑う。

「…そして、悲しい事にこの『反A』の空気は彼女の性別も関係している。」
「性別？なんで？」
「周りみてみろよゴン。女なんてVIP席の囲ってる奴らか実況くらいだろ。」
「たしかに。女性の闘士は見かけた事ないっすね…」
「つまりそういう事なんだよ」

「客も、選手も、みんな思ってる。『ここは女が来るような所じゃない』。そしてここに居るヤツらほとんどが見たいと思ってない。男をねじ伏せる女(覆される普通)を」
「…ふうん」

ゴンはふいとリングに目を向ける。そしてニッと笑った

「つまりさ、皆Aが怖いって事だよね。」

ゴンの発言に三人は目を丸くする。

「だってAは実際、皆が怖がってるジョー兄弟をコテンパンにしちゃったでしょ。皆薄々きづいてるんだ、『Aが簡単にボコボコにされる筈がない』って。」
「だから、怖がってる。ここでジョッパーが負けたらそれが証明になっちゃうもんね。Aにブーイングしてるのは『俺達は怖がってないぞ』ってキョセイを張ってるんだ。」

ふんすと鼻を鳴らすゴンにキルアは感心した様に笑う。

(…コイツ虚勢なんて言葉知ってたんだな)

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す