検索窓
今日:16 hit、昨日:39 hit、合計:64,891 hit

ハッピーエンド8 ページ8

沖田さんを好きになるのに、時間はいらなかった。

週に三、四回この甘味所に足を運び、何気なく話して、食べて、のんびりする彼。

けど、いざと言う時は優しくしてくれる言動に好感を持ってしまった。

…まぁそう、なんだけど。

沖田さんは、やっぱり人を寄せつかせない空気を漂わせている。

それは自発的に出しているように思える。

冷えきった目や、血を通わせないセリフ。

わざとそんな態度を取っているように感じてしまうのだ。

だから踏み込んだ話に持ち込めないし、彼の事を深く知ることが出来ないでいる。

踏み込む勇気が、ない。


「ちわっす」


「沖田さん!いらっしゃいませ。今日もサボりですか?」


「サボりじゃねぇです、休憩でさァ」


二週間。

彼は通い続けてくれている。

今ではこんな冗談も言えるようになった。

少しでも近づきたくて、こうして自分から話しかける機会を増やしている。

一歩前進しているつもりだ。


「今日は万事屋の旦那は来てないんですねィ」


縁台に座り、欠伸をする沖田さん。


「そう、ですね。いつもならこの時間に来るのに…」


そう呟くと、ピリッとした空気が流れた。

ビックリして沖田さんを見れば、いつもより死んだ目をしていて。

けど、それは一瞬にしていつもの空気感に変わる。

な、なんだったんだろう…。


「旦那とはいつ頃初めて会ったんですかィ」


「いつ頃…?え、っと…」


確か銀さんと出会ったのは、今から数えて三ヶ月前だ。


「沖田さんが甘味所に来てくれた二週間前くらいですね」


「へぇ…俺より先にここ見つけたんですねィ」


何かボソボソっと俯き呟いた沖田さん。

聞こえなかったけど。


「沖田さん…?」


勇気を出し、彼の顔を覗き込む。

綺麗な横顔にドキッと胸が鳴った。

まつ毛長いんだなぁ。

瞳の色は赤くて、ちょっと濃い。

くっきり二重で、すっとした鼻筋。


じっと見つめること約二秒。

彼の眼球だけがこちらを向いて、目が合った。

その視線が私を固まらせる。

変な、緊張感。

というか、ドキドキして目が離せなくなってしまって…


「デートしやせんか」


「…へ!?」


スっと言われた一言。

あまりにも突然に、そして衝撃的なセリフに動揺する。


「ななななな、急に何ですか!」


「思いつきですけどねィ」


そう言うと彼はスマホを取りだした。


「携帯、教えてくだせェ。後日俺から連絡しまさァ」

ハッピーエンド9→←ハッピーエンド7



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
125人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。