ハッピーエンド43 ページ43
総悟くんのお姉さんのお話は、総悟くんから聞いたことがあった。
沖田ミツバさん。
けど、総悟くんの小さい頃のお話は全くと言っていいほど聞いたことがない。
沢山聞いたが答えてくれなかった。
だから土方さんに教えて貰っていたのだ。
「さ、話は終わりだ。お前は仕事に戻れ総悟」
灰皿につけたばかりのタバコを押し付け、火を消す土方さん。
「何でですかィ、まだ俺はその話聞いてないでさァ」
「Aからいつでも聞けるだろ。てめぇは今日はしっかり仕事するんだよ」
彼はそう言うと、お金を机に豪快に置き立ち上がった。
どう見ても余分に多いお金に戸惑う。
「ひ、土方さん私が出しますから…!」
「なぁにバカな事言ってんだ。釣りまで貰っちまえ、それくれぇ貪欲になれ」
な、なんてイケメンなんだ…。
私は何度も土方さんにお礼を言い、有難くお金を頂いた。
土方さんはさっさと出て行ってしまい、残ったのは私と総悟くん。
「今日の夜の七時、Aさんの家に行きやす」
「あ、え!?急に!?」
「今日土方さんと話した内容、教えてくだせェ。ゆっくりあんたと話してぇだけですけど」
すると、総悟くんは私の頭に手を置き、ゆっくり撫でてくれた。
随分優しい行動に、嬉しくなり目をつぶる。
「ったく…焦らせないでくだせぇよ」
「へ?」
「何でもないでさァ」
☕
夜の七時になった。
本当にピッタリに総悟くんはインターフォンを鳴らし、私の家に来てくれた。
一冊の小説を片手に。
「あぁそれ!」
玄関で総悟くんが持つ小説を指さす。
付き合う前のこと、初めてデートした時。
私が選んだ小説を読みたいと言ってくれた総悟くん。
最後まで必ず読むから、選んで欲しいと。
サスペンスものをチョイスしたのを覚えている。
「ちゃーんと最後まで読みやしたよ」
「じゃあ後で感想聞かせてくださいね」
最後の方に栞が挟んであるのが見えて嬉しくなる。
本当に読んでくれたんだなぁ…。
私は彼をリビングまで案内し、お茶やお菓子を持ってきた。
「あり、これ…」
「はい。私の職場の和菓子です。好きな物食べてくださいね」
胡座をかいている彼の隣に、私も正座して。
彼はジーッと和菓子を見つめながら、少しだけ頬を緩めた。
「可愛らしいですねィ」
ドキッと胸がなる。
最近、彼は優しい表情をする事が多くなった。
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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時