ハッピーエンド40 ページ40
「こんだけ借りりゃAさんも困ると思いやして」
だから、あんなに沢山…。
返してもらわなきゃ困る量を借りていった総悟くん。
まさか戦略だったとは。
すると、彼は私のお腹に腕を回しギュッと抱きしめて。
「どうしたらAさんを落とせるかとか、どうやって関係を持とうかとか、こんなに一人の女の事を考えたのは初めてでさァ」
「そ、うだったんですか…」
顔から火が出そうだ。
近くで感じる体温や呼吸、そして言葉の意味を理解すると心臓がバクバクと鳴り出す。
黙って俯いていると、総悟くんが私の背中に顔を埋める。
「俺だけペラペラ喋ってるんですけど」
初めて聞いた、拗ねた声。
振り向きたい、今すごい振り向いて総悟くんの顔が見たい!!
けど振り向けなぁい!!!
「Aさんはどうだったんですかィ」
「…へ?」
「俺のこと、どう思ってやした?」
私は、お腹に巻きついた総悟くんの腕に手を置き、それを持上げる。
総悟くんと向き合うように正座して座り直すと、総悟くんは膝を立て首を傾げた。
「よく甘味所に来てくれる、面白くて優しい人。…あと、怖い人。助けてくれたのにも関わらず、怖い人だって思ってました」
俯き、総悟くんの膝を見てそう言葉を紡いでいく。
「けど…本当は寂しがり屋で、努力家で、人より何倍も悲しい経験をして、強くて優しくて。そんな総悟くんに、憧れていました」
今度は顔を上げ、しっかり彼の目を見てそう言った。
勇気を振り絞り、今彼に感じていること全てを伝えたかったから。
「偽善じゃない、本当に心からそう思える人なんです。私の大切な人なんです…!!」
必死に、そう言った。
ちゃんと伝わるように、今の自分を知って貰えるように。
総悟くんは大きな目をさらに大きくした。
驚いた表情をし、固まる。
すると、今度はプッと吹き出す。
クスクスと幸せそうに眉を緩め笑い、照れたように頬を染める。
「すっげぇ幸せでさァ」
その一言で、私はぶわぁあっと何かが舞い上がってきた。
一気に涙が込み上げてきて、鼻の奥がツンとする。
幸せって、なんて素敵な言葉なんだろう。
そんな素敵な言葉が、彼の口から聞けるのは
なんて幸せだろう。
そっと私の手の甲に、彼の手のひらが乗せられた。
優しく掴まれ、クイッと引っ張られる。
そのまま私は彼の胸にダイブするように、抱きついた。
「好きでさァ」
そう、優しい声が降ってきた。
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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時