ハッピーエンド22 ページ22
風邪が治った次の日。
私は複雑な心境のまま、仕事場へ向かった。
いつも通り銀さんがいらっしゃって、私につっかかる。
「Aちゃーん、なんか元気なくね?」
「そう、ですか?」
露骨に態度に出ていたのだろうか。
目が会った瞬間、言われてしまった。
「最近総一郎くん見ねぇけど、それが原因か?」
「全然違いますよ。そういえば来ていませんね」
平然を装い、私はお盆を胸元に持ちながら一礼し、そそくさと持ち場に戻った。
去り際、銀さんは納得いかないような顔をしていたけど。
友達をやめよう、か。
告白もさせてくれないなんて、意地悪すぎる。
どうしてそんなことを言うんだ。
悲しみが怒りに変わり、その怒りを越し、今はボケーッと沖田さんのこと以外何も考えられないでいる。
その時。
「A!!」
______ドクンッ
それは
. . .
聞き慣れた、私が大好きだった声。
そんな声が心臓を貫くようにして聞こえた。
…もし、かして。
振り向くと、そこには柔らかい笑みで私を見つめる一人の男性が立っていた。
「春樹さん…?」
ふわふわの黒髪、控えめな服、子犬みたいな表情。
私の…元カレ。
どうして、ここにいるの。
彼はゆっくり店内に入ってきて、私の目の前まで足を運ぶ。
「久しぶりだねA。元気にしてた?」
そう、この人はこういう話し方をする人だ。
優しさが滲み出る柔らかい声に、ゆっくりとした口調。
じんわりと、胸が熱くなる。
「う、うん…元気だったよ」
つっかえながらも返事をする。
春樹さんは、私の二つ上の美容師さんだ。
出会いはカフェ。
彼が一目惚れしたって、声をかけてくれたのが始まりだった。
学生時代に付き合って、一年間だけだったけど同棲もした。
そして彼は、私をフッた人。
その日に沖田さんと出会ったんだよね…。
「Aの職場、変わってなくてよかったよ。すぐに見つかった」
「そ、そう…。何しに来たの」
ニコニコと笑う彼に戸惑う私。
私の冷たい声音にドキッとしたのか、笑顔をしぼませた。
「ごめんね、急に来ちゃって。その…Aに言いたいことがあってさ」
「ちょっと待って、もう少しで休憩だから」
「いや、仕事終わるまで待ってる」
そうキッパリ彼は強めな声で言うと、外の縁台に座りに行ってしまった。
このタイミングで、どうして…。
もう次から次へと起こることに、頭がパンクしていた。
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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時