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ハッピーエンド3 ページ3

沖田さんはソファに座ると、散らかった漫画を手に取っていた。

別れるって言われて、納得できなかった私は反抗した。

その時に彼が蹴飛ばした漫画達だ。

積み上げてた私も悪いけど、蹴ることないじゃん。


「これ、知ってまさァ。随分売れた漫画ですよねィ」


「あ、あぁ…そう、ですね」


何を考えているのか、分からない。

彼はただ一巻を手に持ちボーッと見つめている。


私はタンスからタオルを出し、沖田さんにそっと渡した。


「送っていただき、ありがとうございました」


「…」


彼は黙ったまま受け取り、肩や頭を拭き始める。

沈黙の空気が気まづくなり、私は台所に向かおうと踵を返す。

すると、「すいやせん」と声をかけられた。


「この漫画、貸してくれやせんかねィ」


「…へ?」


振り向くと、既に勝手に何冊か選び始めている彼。


「紙袋か何かありやすか」


「は、はい!」


何を焦ったのか、何が私を煽ったのか。

何故か言うことを聞き、私は紙袋を取りに行った。

手頃なサイズを渡せば、蹴り飛ばされた漫画達がどんどん紙袋に吸い込まれていく。

あ、ちょ、それ新刊っ…!!

結局お気に入りの漫画は全巻持ってかれ、棚に並べてあった漫画も何冊か入れられた。


「これだけ持ってかれたら、困りますよねィ」


パンパンに詰められた紙袋を持ち上げる彼。

申し訳なさそうに見えないのは何故だ。

セリフと顔が合っていない。


「そ、そりゃ困ると言いますかビックリしたと言いますか…」


「じゃ、帰りやすね」


「え!?」


じ、自由すぎる…。

使い終わったタオルを私に渡すと、彼はさっさと玄関へと向かった。

重たそうな漫画たちを軽々持ち、靴を履く。

私も急いで玄関に行き、外まで見送るとサンダルを履いた。

玄関を開けてあげて、二人で外に出る。

沖田さんは振り向くと、口を開いた。


「名前、俺は教えてもらってねぇ」


そういえば。


「桜田 Aと申します。今日は本当にありがとうございました」


再度頭を下げお礼を言うと、彼は初めて私の前で笑った。

ニヤリと、片方の口角を上げ。


「桜田 Aさん、今度フラれた時は真選組に来てくだせェ。俺が慰めてやりまさァ」


「それじゃ」と付け加えそう言い残すと、沖田さんは行ってしまった。

な、何だったんだ…。

もうめちゃくちゃな人すぎて、頭がついていかない。

真選組の一番隊隊長は、ちょっと変わった人なのだろうか。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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