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ハッピーエンド11 ページ11

「行きやすか」


自然なニュアンスでリードしてくれる沖田さん。

先を歩き始めたので、私も後を追うようについていく。

頭の中では、今日の服装変じゃないだろうかとか、彼の隣を私なんかチンケな女が歩いていいのだろうかとか。

不安が募っていて。

やけにネガティブシンキングになってしまう。


「それ、いいですねィ」


「え?」


私の左隣を歩く沖田さんが、ふとそう言った。


「ピアスでさァ」


指摘され、気づいてくれたことに嬉しくなる。

淡いピンクの小さい花、シンプルなピアスだ。

普段ピアスはあまりしないが、沖田さんに少しでも可愛いって思って欲しくて。

…ワクワクしすぎ、かな。


沖田さんとたわいもない話をしながら歩き続ける。

彼は私の歩幅に合わせ、ペースを落として歩いてくれて。

車が来たらそっと私の肩に手をそえ、引き寄せてくれたり。

その気遣いがカッコよく、私をドキドキさせるには十分だった。

でもこう考えると、女性のエスコートに慣れてる気がする…。


「Aさん、着きやしたよ」


ボーッと考えていたら、彼の足が止まった。

顔を上げ目的地を見れば、なんとそこは私がよく通う書店で。


「ほ、本屋ですか…?」


「好きですよねィ、本。初めて会った日、Aさんの自宅に並べられた本棚を見てそう思ったんですけど」


「好きですけど…いいんですか?私の好きな所で」


「いや、ここに来たかったのは俺でさァ。おすすめの小説をAさんに教えて欲しくて。ちゃんと読むんで、紹介してくだせェ」


そう言えば、先に彼は階段をズカズカ上り始めた。

今思えば、あの日の夜から沖田さんは私の元彼の事を聞いてこない。

あの後どうなったのかとか、もう吹っ切れたのかとか。

私に興味が無いだけなのかもしれないけど。


追いつき彼の隣に肩を並べ、入店。

今話題の小説は入ってすぐ並べてあるので、まずはその本を手に取ってみる。


「恋愛ものですね、一番売れてるらしいですよ」


ざっとあらすじに目を通す。

よくある三角関係の話で、今どきの若い人が読みそうな内容だった。

私も二十歳であり、一応若い部類には入るが。

こうキラキラした恋愛より、哀愁漂う内容の方が私は好みだった。


「Aさん、こういうの読むんですかィ?」


ギクッとなる。

そ、うだよね。可愛い女の子はきっとこんな小説を読んでるはず。

けど沖田さんには嘘をつきたくなかったので、正直に「あまり読まない」と回答。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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