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ハッピーエンド2 ページ2

「じゃあその髪は、その男に切ってもらったんですねィ」


「はい。だから、失恋したから髪を切るなんてこと出来なくなっちゃって」


いわゆる相合傘というものをしながら、話を聞いてもらっていた。

元彼の職業は美容師。

よく私の髪を切ってくれて、アレンジまでしてくれていた。

鏡の前に座って、「今日はどういった髪型で?」なんて店員口調で言われたりして。

あの時間が、本当に好きだった。


「そーなんですねィ」


どうでも良さそうな声音。

けど今は、それくらいがちょうど良かった。

親身に話を聞かれるより、こうして流してくれた方がズルズル引きづらない。

この人に話を聞いてもらっていると、彼との思い出にピリオドがついていっている気がする。


家の前に着いた。

ここまで送ってもらったことに、少し罪悪感を感じる。

こんな見ず知らずの女を…申し訳ない。


「あの…お名前、お伺いしてもいいですか」


アパートのドアの前で、そう聞いてみた。

今更だが、彼の名前を知りたい。

そして、しっかりお礼がしたい。

彼は傘をたたみ、濡れた肩を手ではらった。

私の方に傘を傾けてくれてたことに、胸がキュンと音を立てる。


「沖田総悟」


そして、死んだ目でそう私に言った。

お、沖田総悟!?

ということは、この人は真選組の一番隊隊長で。

よくバズーカ好き勝手に撃ってるって噂されてる、あの…!!??

驚きを隠せなかった。

顔に出ていたのだろう、彼…沖田さんは、面倒くさそうに首を鳴らした。


「ちょっと家、入れてくれませんかねィ。タオル貸してほしいんで」


「え、え!ちょ、ちょっと待ってください、そんな…」


「お礼、したいんじゃないんですかィ」


心中お見通しなようだ。

考えていた事を簡単に見透かされ、お手上げ状態だった。

私は仕方なく玄関のドアを開け、彼を招き入れた。


「どうぞ…じゃない!!待ってください、一回外に」


忘れていた。

まだ元彼がいるかもしれない。

沖田さんと一連のくだりをしていた時、すっかり彼のことを忘れていた。

慌てて振り向けば、彼の荷物は全てなくなっていて。

…何だ、あの後すぐに出て行ったんだ。


その時の私は、寂しいとか悔しいとか

そんな感情は全くなくて。

沖田さんに元彼を見られなくてよかった、と安心した。


「じゃ、お邪魔しますねィ」


玄関で靴を脱ぎ、ズカズカと勝手に入る沖田さん。

…初対面の女の家に入るってなかなかやばい人なんじゃ。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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