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「三橋くん、大丈夫...?」
開久がどこかへ行ったのを確認してから三橋くんの隣に膝をついて顔を覗き込む。
痛々しい傷が何個も出来てる...どうしよ、手当てしないと。でも絆創膏とか持ってないし、まず血を拭かないと...。
「...何で来たんだよ。俺何も言ってねぇだろ」
「伊藤くんが教えてくれたの、三橋くん、喧嘩してるかもって」
「アイツ...余計なこと言いやがって」
「何で1人で喧嘩しちゃうの、伊藤くんだっているじゃん」
「別に何でもいいだろ」
そう言うとぷいと顔を逸らしてしまう。何で1人で喧嘩しちゃうのかな...。三橋くんは確かに強いけど、それでも勝てない時だってあるのに。
ぼんやりとそんな事を考えていると、そっと頬に手を添えられる。びっくりして顔を上げると、悲しそうな顔をした彼と目が合った。
「...ごめんな、怪我させて」
「み、三橋くんが謝ることじゃないよ、大丈夫だから、ね?」
安心させようと笑顔を作るも、それでも三橋くんは悲しそうな顔をしたままでどうしたらいいのか分からない。
そう思っていると、三橋くんは急にお腹を押えて顔を歪めた。
「...あー...いってぇ、1人相手に手加減なしだったぜ、だせぇな」
「まぁ...酷いよね」
そうだ、早く手当しないと。酷い怪我だし。
「三橋くん、とにかく手当てしないと。...立てる?」
「...ちょっとやべぇかも」
三橋くんに手を伸ばせば弱々しくその手を掴む彼。何とか力を振り絞って立たせてあげた。
「どこで手当てしよっか...私の家はちょっと遠いし...」
「じゃあ...俺ん家来る?ここからなら近いし」
「えっ!?あ、う、うん、そうしよっか...」
俺ん家来る?という言葉に驚いて大きな声を出してしまう。いや、この状況なら仕方ないけど、それでもドキドキしてしまう。落ち着けA、やましいことは何もないぞ...。
そう自分に言い聞かせながら三橋くんの体を支えて歩き出した。
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ソウ - はじめまして!ソウです!読ませていただきました!めっちゃ面白かったです!これのおかげでまた今日から俺は大好きになりました!ありがとうございます!!( ≧∀≦)ノ (2019年8月21日 20時) (レス) id: 8344a9dd37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月30日 14時