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バーノンside
校舎裏の方に早足で進んでいくスングァニになんとか追いついて、肩を掴む。
スングァニが、小さなため息をついて足を止めた。
「……大丈夫?」
子供のように泣いた跡のあるスングァニがこくりと頷く。取り敢えず落ち着かせようと近くのベンチへ座らせた。
すぅ、と深呼吸をするスングァン。俺が優しく背中を撫でると、「………ごめん」と一言。
確かに、Aとスングァニは仲が良い。たまにしょうもない喧嘩をするところは何度か見たけれど、こんなのは初めてだ。
それにここまで感情を表にするスングァニも初めて見た。
すると、スングァニもそんな俺の感情を読み取ったように口を開いた。
「……Aと出会ったのは、高校1年の頃だったんだけど、ああ見えて両親とは上手くいってなかったらしくて、おじいちゃんの家から学校に通っててさ」
Aの両親は昔から祖父に預けることが多かったらしい。ほとんど両親とは同居せずに育ってきたとスングァニが教えてくれた。
優しい秋の風が俺たちをすり抜けていく。まるで泣いているスングァニを慰めているようで、優しい風だった。
「でも、おじいちゃん、高校2年の冬に、心臓の病で亡くなったんだ」
Aのおじいちゃん、俺が考えても優しくて暖かな人だったんだと思う。だからAはあんなに素直で優しい子なんだろう。
「亡くなった時、1人だと心細いだろうと思ってなるべく一緒にいてあげたんだけど………なんか、その時のあの子の横顔見てたら、本当、心の底から、」
僕は友人としてしか隣にいてあげられないけど、
心の底から、Aが好きな人と、幸せになってもらいたいって思ったんだ。
泣きながらだからほとんど何を言っているか分からなかったけど、痛いほどその気持ちが伝わってきて。
秋の広い青空を見つめながら、スングァニを慰めることしかできなかった。
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夏目(プロフ) - 葵さん» 楽しんでくださりありがとうございます!ディノちゃんの小説が少なかったので自給自足しました(笑)最後のラブラブのために書いた小説なので、番外編ではもっとラブラブを書こうと考えております。お気遣いいただきありがとうございます! (2020年9月20日 9時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - mocoさん» 一気に読んでくださりありがとうございます!!とにかくディノくんのカッコ良さにこだわって書いたのでそう仰っていただけて嬉しいです!こちらこそご愛読ありがとうございました!! (2020年9月20日 9時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - でぃのちゃんの小説少なかったのでとても嬉しかったです!最後ラブラブしてくれて、ニヤニヤが止まりませんでした(笑)お話も凄く読みやすかったです!番外編もあるなんて、感謝でしかありません。ゆっくりで構いませんので、良ければ番外編もよろしくお願いします! (2020年9月20日 1時) (レス) id: 1b7ff15c1b (このIDを非表示/違反報告)
moco(プロフ) - チャニがカッコ良くてキュンキュンしながら一気に読みました。とても気に入りました。良い小説をありがとうございました!! (2020年9月19日 22時) (レス) id: b8fe820ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 | 作成日時:2020年9月14日 22時