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ぶーちゃんとボノニが顔を見合わせる。私はこの空気が嫌で、笑って誤魔化してサンドイッチを齧った。
こんな時でもサンドイッチは美味しい。
「ぶーちゃん、サンドイッチ1口いる?」
「ちょうだい」
ぶーちゃんが珍しくサンドイッチを貰ってくれた。
うん、これ美味しいね、と優しく微笑んでくれるぶーちゃん。ボノニのパスタも1口貰う。パスタも絶品。
今まで、ずっと、チャニは可愛い後輩だと思い込んできた。
そうじゃないと、私が辛かったから。
『Aはもっと、年上の頼りがいのある人を好きになりなよ。じゃないと、相手が寂しがって可哀想だよ』
鉛のようにずっと私の心にいるこの言葉が、私じゃチャニを幸せに出来ないと叫んでくる。
だから私は今までチャニのことなんか全然興味がないって、
好きじゃないって。
でも、本当はきっかけなんて無しに、段々段々、チャニの優しさや素敵なところに惹かれていって、好きになりそうで。
「好き、だよ」
けれど、好きになっても、本人に伝えられる勇気もないから。
「私はずっと、チャニのことが好きだよ」
ぶーちゃんがそんな私を見て、なんだか泣きそうな顔をしていた。
私が泣いてないのに、ぶーちゃんが泣いてくれるなんて。そこまで大切に思われていたとは思わず少し焦る。
「なんなの、ほんとにさ、」
「スングァナ、落ち着きな」
「僕達はお前に幸せになって欲しいだけなのに、ムカつく」
勝手に決めて、勝手に隠して、なんなんだよ、とぶーちゃんが赤くなった目を擦りながら呟いた。
「お前はチャニよりその元彼の方が大切な訳!」
その言葉に、ガツンと頭を殴られたような感覚になる。
「スングァナ、ここ外だから。ほんとに落ち着きな」
あー本当に、もう、とぶーちゃんが呟いてカフェを出ていってしまう。ボノニが「スングァニもAと同じぐらい不器用だなぁ…」と言って彼を追いかけようと立ち上がる。
「でも、俺もスングァニと同じ意見」
振り返りざまに彼がそう残して、立ち去っていった。
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夏目(プロフ) - 葵さん» 楽しんでくださりありがとうございます!ディノちゃんの小説が少なかったので自給自足しました(笑)最後のラブラブのために書いた小説なので、番外編ではもっとラブラブを書こうと考えております。お気遣いいただきありがとうございます! (2020年9月20日 9時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - mocoさん» 一気に読んでくださりありがとうございます!!とにかくディノくんのカッコ良さにこだわって書いたのでそう仰っていただけて嬉しいです!こちらこそご愛読ありがとうございました!! (2020年9月20日 9時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - でぃのちゃんの小説少なかったのでとても嬉しかったです!最後ラブラブしてくれて、ニヤニヤが止まりませんでした(笑)お話も凄く読みやすかったです!番外編もあるなんて、感謝でしかありません。ゆっくりで構いませんので、良ければ番外編もよろしくお願いします! (2020年9月20日 1時) (レス) id: 1b7ff15c1b (このIDを非表示/違反報告)
moco(プロフ) - チャニがカッコ良くてキュンキュンしながら一気に読みました。とても気に入りました。良い小説をありがとうございました!! (2020年9月19日 22時) (レス) id: b8fe820ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 | 作成日時:2020年9月14日 22時